彼女や奥さんは自分の延長物じゃないし、相手を操作できた俺SUGEEEEってのは果たして愛か?
上記のエントリなんですけれども。
はてなブックマークで今のところ誰からも突っ込まれていないのが不思議なのですが、冒頭の「自虐」という語の使い方を見た時点で、あたしは多大な違和感をおぼえました。
以下引用。(強調は引用者によります)
先日先日電車に乗っていた時に少し酔っ払っているよれっとしたスーツ姿の男性2人組が、こんな話をしてました。
「お前のとこの嫁は綺麗でいいよな。うちのはもうだめだよ。」
みたいな。
話からするとどうも、その男性の奥さんは結構ふくよかな方らしい。
だからもう一人の男性の奥さん(たぶん細い方)を指して綺麗でいいよな〜と言ってるみたい。
で、まあ羨むだけならいいんだけどそのあとに
「うちの嫁もああ見えても結構老けてるんだよ。最近お腹がさ...」
とか言っちゃうわけです。
酔った勢いなのかわからないけども
堂々と奥さん自虐大会がはじまってしまって、なんともヨレヨレのスーツに見合う雰囲気を醸してましたと。
こういう奥さんを自虐するという光景は別に珍しい光景ではないにせよ、
日本語の「自虐」というのは、「自分で自分をいじめ苦しめること」なので、この会話を「奥さん自虐大会」「奥さんを自虐する」と称するのは変です。「奥さん」と「夫」は別個の人間でしょう。いつから「奥さん」は男性の自我の延長物になったの。
とは言え、上記箇所まで読んだ時点では、単に筆者さんが「自虐」という語の用法を誤解していらっしゃるだけかも、とも思ったんですよ。しかし、エントリ後半の趣旨が「彼女を操作(コントロール)できた俺SUGEEEEE」(要約)だったことに、さらに愕然といたしました。冒頭部を読んで受けた違和感は、やはり間違っていなかったのかもしれません。
そんなわけで自分は上掲エントリを、「自分と女性パートナーとの境界があいまいな方が、パートナーに対するコントロール欲求を満たせた喜びを綴られたもの」と解釈しました。それがはてなブックマークで(おおむね)好評を博しているところには、非常に日本的な不健康さも感じます。
なぜここで「不健康」という形容が出てくるかについては、このへん見てくださいね。(英語よ)
- The Effects of Stress and Desire for Control on Superstitious Behavior
- Desire for control, locus of control, and proneness to depression - Burger - 2006 - Journal of Personality - Wiley Online Library
個人的にHagexさんの以下のエントリに深く同意するしだいです。
- 作者: Patricia Evans
- 出版社/メーカー: Adams Media
- 発売日: 2003/02/01
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る