Sizzling Sixteen(Janet Evanovich)感想

Sizzling Sixteen (Stephanie Plum)Sizzling Sixteen (Stephanie Plum)
Janet Evanovich

Review 2010-06
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お騒がせバウンティー・ハンター、ステファニー・プラムシリーズの第16作。未邦訳。ストーリーは、ステファニーのいとこのヴィニーがヤバい連中に拉致され、ヴィンセント・プラム保釈保証会社が危機に陥るというもの。いつも通りに建物は爆発し、ステフの車はぶち壊れ、人が死に、ドーナツと「バケツの中の雌鶏」のフライドチキンがしょっちゅう出てくるというお話でございました。
今回の目玉はなんと言ってもホビットネタですね。ええ、『指輪物語』のあのホビットです。以前シリーズのどこかでやったスタートレックネタよりもっと大仕掛けでもっと馬鹿馬鹿しく、特に終盤間際が見ものでした。また、ピップおじさんの謎の「幸運の瓶」が一応役に立ち、しかも意外なオチがつくところにも笑わせてもらいました。こと「笑い」の部分にかけては、いつも通りのパンチ力を保っている一作だと思います。
ただし、冒頭の語り口調がいつもに比べて切れ味に欠けること、ステファニーが何かというとレンジャーに依存するところ、そのくせいまだにモレリとレンジャーの間で揺れ続けていることなどはマイナスですね。特に、16巻まできてここまで主人公が無能かつ優柔不断というのは、読んでいて時々イラッとくるものがあります。ていうか、昔は彼女、ドジを踏みつつももう少し自力でFTAを捕まえてなかったっけ。車だって、たとえボロボロの中古車でも、がんばって自分で手に入れてたしさ。ステファニーを成長させず、むしろ退化させることで間を持たせるという書き方は、そろそろ限界なんじゃないかなあ。 6月に発売される17巻(Smoking Seventeen)で、そのへんが改善されてるといいんですが。