米カリフォルニア州ソノマ郡、老ゲイカップルを引き離し、財産をすべて売却

米国カリフォルニア州ソノマ郡在住の年老いたゲイカップルが、片方が病に倒れたのをきっかけに郡によって引き離され、所有物を売却されてしまったというニュース。

このゲイカップルは88歳のハロルド(Harold )さんと77歳のクレイ(Clay)さん。20年間にわたってパートナーとして共に暮らしていたとのこと。病を患っていたハロルドさんは、ある日自宅の階段で倒れて病院に運ばれました。ところがソノマ郡は、クレイさんはハロルドさんにとって他人であるとして面会権を認めず、さらに、ふたりを別々の老人ホームに収容してしまったのだそうです。

ソノマ郡は、ハロルドさんには家族がいないとみなして、郡がハロルドさんの代理として経済上の決定をくだすと主張。裁判所は郡に対し、ハロルドさんの看護費用支払いのために銀行口座のひとつにアクセスする権利だけを認めたとのこと。ところが郡は、それ以上のことをやらかしました。ハロルドさんとクレイさんの所有物を、どれがどちらのものだか区別すらせずに、全部競売にかけてしまったんです。郡はさらに、このゲイカップルが長年住んだ家の賃貸契約を打ち切り、クレイさんを家から追い出して、ハロルドさんが入れられたのとは別の老人ホームに収容してしまったとのこと。

3ヶ月の闘病の後、ハロルドさんは老人ホームで死去。クレイさんは臨終の場に立ち会わせてもらえなかったそうです。クレイさんに残されたのは、たった1冊のアルバムだけだったとか。現在、The National Center for Lesbian Rights (NCLR) がハロルドさんとクレイさんの代理として郡を訴えており、2010年6月16日に初公判が行われる予定だとのこと。

ひどい話です。これじゃ、「あいつは魔女だ」と名指して人を拷問にかけては殺し、「魔女」の財産を没収していた時代と何も変わらないのでは。性的マイノリティをやっていて何よりつらいのは、このように年老いたときや病気のときによりいっそうひどい目に遭わされることです。20年も一緒に暮らしても「アンタ他人だから」と家を追い出され、財産をぶんどられ、パートナーを看取ることもできず、残されたものはアルバム1冊のみ。これじゃ、制度からこぼれ落ちるどころか、制度から積極的に蹴り出され、踏みにじられている状態じゃないですか。「同性愛者は差別されて/嫌悪されて当然」とおっしゃる皆さんにあたしは問いたいんですけど、あたしら同性愛者が、こんなひどい仕打ちを受けるに値するようなどんな悪事をしたって言うの? 人の老境を踏みにじって恥じないこういう連中の方がよっぽど「嫌悪されて当然」なんじゃないの?