『CANAAN(1)』(石田あきら、角川書店)感想

CANAAN (1) (角川コミックス・エース 264-1)CANAAN (1) (角川コミックス・エース 264-1)

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-01-26
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

百合かどうかはまだ微妙、漫画としては抜群に面白いです

同名のアニメのコミカライゼーション。国際都市・上海で、“共感覚”を武器にテロ組織と戦う少女「カナン」の物語です。アニメ版が百合っぽいという噂を聞いて買ってみたのですが、少なくとも1巻の時点ではそれほど百合百合しくはない感じ。ただ、カナンと親友のカメラマン「大沢マリア」の友情が話の軸になっている点や、敵方に自分の姉に異様に執着する女性キャラがいる点から見て、今後(微)百合展開が出てくることも大いに考えられます。とりあえずこのまま読み続けて、「おお、これは百合だ」と思った時点(があるとしたらその時点)できちんと百合/レズビアン漫画としての感想を書こうかなと思います。

ちなみにアクション漫画としては十二分に面白いです。まず迫力とスピード感あふれる絵が痛快無比。作画担当の石田あきらさんは、「4コマとストーリー漫画が交互に来る」という変わった構成の百合漫画『帝立第13軍学校歩兵科異常アリ!?』で既に遺憾なくその画力を発揮されていますが、この巧さをシリアス物でどかんとまとめて味わえるのは幸せと言うよりほかありません。キャラもそれぞれ魅力的ですし、第5話「拒絶の色」のとある場面での容赦ない展開とかもたまりませんでした。この思い切りのよい残酷さは、ちょっと深見真作品に通じるものがあるかも。百合云々を抜きにしても、先が楽しみな作品です。