『GENEZ-1 ジーンズ』(深見真、富士見書房)感想
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不思議にアンバランスな学園バトルアクションラノベ
パワードスーツ物のバトルアクションです。新しさと陳腐さの間で引き裂かれているような、不思議な印象を残すラノベでした。
無敵のパワードスーツを着て「個人的な感情を優先して」(p. 69)正義を働くことができる、というのは『アイアンマン』ですよね要するに。そんなわけで、特に新しいわけではない。あるキャラクタの能力は『X-MEN』のパイロを連想させますし、「ナイチンゲール」の能力も、フィクションの世界ではよく見かけるものだと思います。あと何より、「いじめられっ子のゲーオタ主人公がなぜか(いや、一応説明はあるんですが)強くなって妹やら幼なじみやらチームメイトやらの複数女性にモテモテ」というギャルゲー臭さも、「何を今さら」感が漂わないと言えば嘘になるかと。ていうか、ちょっとなー、女の目から見ると都合良すぎるかなーと。
ところがその反面、セルジュの正体に巧みにレッドヘリングが仕込んであったり(まんまと騙されました)、現存する武器が「骨董品」からイスラエル軍が最近使っているアレまで幅広く登場したり、謙吾による戦争豆知識ネタがたっぷり散りばめてあったりと、他では絶対に読めないような面白さもしっかりあるんですよねこの作品。なので、「何を今さら」な部分と「これは新しい!」という部分とのギャップが非常に激しく、どちらに注目するかで評価が分かれそうな作品だと思いました。個人的には戦争豆知識部分がすごく好きです。
ちなみに同性愛要素はなし。深見作品らしく拷問シークエンスの描写はかなりバイオレントです。