お気楽な第三者が用語を盗んでいく

ガチな同性愛者としては「うちの上司もそろそろ『ハゲ・カミングアウト』すればいいのに(笑)」とかそういうふざけた文脈で「カミングアウト」という用語を使ってはしゃぐやつは好きになれないし、アルコール依存症でめちゃめちゃに崩壊した家で育った身としては、「うちの親は私に冷たかったの! だからうちは『機能不全家庭』で私は『AC』なのー!」と悲劇のヒロインぶるやつも嫌いですな。原義も知らずにお気楽に用語だけを盗んで行ける第三者はいいねえ、幸せそうで。
そういう輩を見るたびにあたしは映画『ブレードランナー』のロイの台詞を思い浮かべます。あたしの眼が見てきたものをおまえらに見せてやりたいよ、まったく。クロゼットの中にたいした骸骨も入ってないおまえらに何がわかるってーの。つーか新奇な用語を見よう見まねで使う前に、どうして辞書引くとか文献にあたるとかしないんだろね、こういう人たちって。やっぱり頭の中がお花畑なのかね。