TOKYO DOGS

スカパーのアニマルプラネットでやってた"TOKYO DOGS"(邦題:『トーキョー・セレブわんこ』)を見ました。「外国人から見た東京の犬事情を描く」って趣旨の番組なんだけど、見てたら「これ以上、日本人のキチガイっぷりを外国にさらさないでくれ」と血の涙が出そうな気持ちになりましたよ。
試しにあたしが見た回の内容をちょっと書き出してみると、こんなです。

犬の「結婚式」

「犬たちにも結婚式を!」と張り切ってゴージャス結婚式を挙げている人々の様子が描かれます。「まさか飼い主同士で素人繁殖する気?」といぶかしみつつ見てたら、そもそも新郎新婦の犬種が違う。何がどう「結婚」なのよ、これ。要するにただの大金をかけた「結婚ごっこ」に犬を付き合わせてるだけですね。肝心の犬はというと、ヘンな衣装を着せられて一日中引き回されたり待たされたりしてるだけです。
ホントに犬が好きなら、そのゴージャス式にかける無駄金をアニマルシェルターに寄付しろよ! と思ったんだけど、日本にはアニマルシェルター自体がないのだった。どうしようもないわね。

手作りフード

フードを手作りするのは別にいいよ。でもそれを豪華な松花堂弁当風に盛り付けて、緋毛氈の上で粛々と犬に供する必要がどこにある!? 犬がそれを好むとでも!?
「うちの子(こういう人は犬を犬と呼ばない)には違いがわかるんです!」と鼻息荒くのたまう飼い主さんがいそうだけど、犬は飼い主が嬉しがって興奮してるのにつられてはしゃいでるだけだよ。つーわけで、そんなに金が余ってるならアニマルシェルターに(以下略)

レンタル犬

「住宅事情で犬が飼えない」と毎週土日だけ同じレンタル犬を借りてきて可愛がるカップル登場。ちょっと待て、まさか、ペット不可の物件でそれをやってるわけ? 同じマンション内に犬アレルギーの人がいたら、下手すりゃ喘息発作で窒息死コースだよ。健康上の必要でわざわざペット不可物件を選んで住む人だっているだろうに、「飼えないからレンタルで」つってほいほい犬猫連れ込むのはどうよ。(住人全部と大家さんに承諾取るとかしてればOKだとは思うけど、番組ではそこまでは触れられてなかった)
そんなこんなでたいていのトピックスが、「犬をダシにしてはしゃぐ気持ち悪い日本人」像を描き出すのに性交じゃなかった成功していましたよ。犬のことにお金をかけること自体は悪いことじゃないと思うんだけど、それが犬の健康や幸福のためじゃなくて「人間の自己満足のため」でしかないのが心底気持ち悪いです。結局この人たち、犬が好きなんじゃなくて自分が好きなだけじゃん。
この番組を見てる間中、あたしゃ、同じアニマルプラネットで以前見た、アイルランドだかどっかの牧羊犬のことが思い出されてならなかったよ。生まれてから一度も洗われたことのなさそうな見た目ボロッボロのオーストラリアン・シェパード(だったかなー)が実に勇猛果敢に仕事をこなしていて、飼い主である羊飼いのじーさんは心からそれを誇りにしてんの。「こいつは先週も狼を撃退したんだよ。こいつも喉を噛まれたが、この首輪のスパイクのおかげで無事だった」とじーさんが指差す先には、三列ぐらいにスパイクが打ち込まれた頑丈な革の首輪。日本じゃ犬の首輪のスパイクはただの飾りだけど、ここでは大事な仕事道具なわけね。犬って本来はそういう飼い方をするもんだと思うんだけどなあ。幼稚な飼い主のごっこ遊びにつきあうのが「仕事」だなんて、トーキョーの犬は可哀想すぎるよ。