『体が硬い人のためのヨガ Extra Lesson』第1章/ピノキオから人間へ

[DVDブック]体が硬い人のためのヨガ Extra Lesson[DVDブック]体が硬い人のためのヨガ Extra Lesson
水野 健二 高橋 知子

PHP研究所 2012-10-02
売り上げランキング : 5141

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

生きていくにはセルフケアが必要。やばいと思ったら休まねばならぬ。しかし人間、ひたすら休み続けると、それはそれでかえって疲れがたまる。はい、今のあたしのことですね。開高健はかつて運動不足による背中の疼痛を「リューマチにかかったピノキオを見たことがありますか」と形容したけれど、じつに適確な比喩だと思うわ。固まり切ってぎしぎしと軋む体を元に戻すには「運動です、エクササイズです」ということで、小説家は林水泳教室に通ったわけだけれども、あたしには通うべきプールもないので、家でひっそりとヨガを再開。

この『体が硬い人のためのヨガ Extra Lesson』の第1章は、まず手足の末端から始めて首・肩・胸をゆるめ、下半身を活性化させ、背骨周辺を動かし、それから太陽礼拝と月の礼拝をやって、最後にシャヴァ・アサナというコース。体の動きが渋すぎて序盤でもう投げ出したくなるのをじっと我慢し、コケの一念で動いていると、胸をゆるめるあたりで魔法がとけてピノキオから人間に戻ることができます。後半では現金にもウキウキ楽しくなってきて、最後のくつろぎのポーズでは体内のエネルギーがわっと芽吹いて伸びていくのがわかります。

どうも疲労がたまって筋肉がカチコチになると、体のエネルギーに蓋がされた状態になっちゃうみたいなんですよね。で、ヨガをやるとその蓋がはずれる。まるで春先の土手で一斉に新芽を出す草みたいに、ある瞬間に体内のエネルギーが天に向かって噴き出すのがわかるんですよ。筋トレでもストレッチでも有酸素運動でもこうはならない、ヨガだけができることです。不思議。

その昔始めてブライアン・ケストのパワーヨガをやったとき「大事なのは筋力や柔軟性じゃない。筋力や柔軟性は、後からついてくる」という説明の意味がよくわからなかったんだけど、あれはひょっとしてヨガのこういう力のことを言っていたのかも。つまり、ヨガは単純な筋トレやストレッチでは得られないものを与えてくれて、そこがいちばん大事だってことなのでは。しかも、ヨガを続けていれば結果として筋力や柔軟性も身につくんだから、優先順位を間違えるなってことなんじゃないかなあ、あれ。

とにもかくにもヨガパワーのおかげで「リューマチにかかったピノキオ」から人間へと戻れたので、どうにかこの状態を維持したいと思ってます。なるべく毎日、少しずつでもヨガをやろう。