香港終審法院、トランス女性が異性と結婚する権利を認める

香港終審法院(Hong Kong Court of Final Appeal)が、トランス女性が男性パートナーと結婚する権利を認める画期的判決を出しました。

詳細は以下。

この女性は30代半ばで、結婚の権利を求めてこれまで5年間戦ってきました。名前は「W」とのみ公表されています。判決文はこんな。


憲法で保証された結婚の権利は、手術後のトランスセクシュアルが再割り当てされた立場において結婚する権利にも拡大適用される」
"The right to marry guaranteed by our constitution extends to the right of a post-operative transsexual to marry in the reassigned capacity,"

「人々が多くの異なる宗教を信仰したり、またはまったく宗教を持たなかったりする現代の多文化的な香港では、生殖はもはや(かつてそうだったことがあるとしても)結婚に必要不可欠なものとはみなされない」
"In present-day multi-cultural Hong Kong where people profess many different religious faiths or none at all... procreation is no longer (if it ever was) regarded as essential to marriage,"
終審法院では5人の判事のうち4人がこの判決を支持しました。法廷でWさんの代理をつとめた法律事務所のマイケル・ヴィドラー(Michael Vidler)氏は、「完全な勝利」であると言っているそうです。

ちなみに香港の現行法では、出生証明書の性別は変えることができず、政府はそれを根拠に「このままだと同性婚になってしまう」という理由でWさんの言い分に反対していたとのこと。しかしながらWさんはパスポートやIDカードなどでは女性とされており、ヴィドラー氏は、政府が他の局面で彼女を女性として扱うのであれば、結婚についても女性と認めるべきだと主張したのだそうです。たしかにこういうダブルスタンダードって意味不明だもんね。

なお今回の判決により、香港のMtFFtMの両方に異性との結婚の道が開ける可能性があるそうです。ただしこのままだと手術前の人の権利は認められないのではないかという指摘もあり、政府による法整備が待たれるとのこと。

そんなわけでいろいろと道のりは通そうだけど、これが最初の一歩なのかも。おめでとうございますWさん、お幸せに。