「どうする? 息子がゲイなんだぞ?」地下鉄内でのパパたちの会話

Rafi D’Angeloさんというブロガーが、ニューヨークの地下鉄で偶然耳にしたという会話をブログに書き、話題を呼んでいます。ペンシルバニア駅で乗り込んできた、「建設作業員風」の男性ふたりの会話だそうです。ふたりはどちらも白人で、口ひげを生やしていて、汚れたジーンズをはいていて、早い話がアメリカのビルの建設現場によくいるタイプ。男性1(チャーリー)にはジョンという名前の息子さんがいて、男性2(パトリック)にはパトリック・ジュニアという息子さんと、ルシンダという名前の娘さんがいるらしいです。
冒頭のあんまり関係ない部分を省いて訳すと、こんな感じ。


男性2「そう言えば息子さんは最近どうだい。しばらく会ってないけど」
男性1「ジョンはよくやってるよ、今年はあいつ、レギュラー投手でさ」
男性2「絶対、女の子にもてまくって仕方ないだろうな」
男性1「まあ、女の子にかまける時間があればそうなるんだろうけど」
男性2「野球に夢中なのか?」
男性1「男の子に夢中なんだ」
男性2「冗談だろ!」

Guy #2: No more kids for you two?
Guy #1: No, she figures we’re both getting too old for a baby.
Guy #2: How is your boy anyway? Haven’t seen him in awhile.
Guy #1: Oh John’s good, pitching this year varsity.
Guy #2: He’ll definitely have the girls hanging around him now.
Guy #1: Yeah if he had any time for them.
Guy #2: Focused on baseball?
Guy #1: Focused on boys.
Guy #2: You’re shittin me!

おいおい父ちゃん(男性1)、そんなにさらっと息子の性的指向をばらしちゃっていいのか!? と思うでしょ。でも、おもしろいのはここからです。


男性1「からかってるわけじゃないよ。去年俺とメアリ・アンは、めちゃくちゃはっきりカミングアウトされたんだから」
男性2「そりゃ驚いた! 俺は知らないことになってるんだけど、こないだパトリック・ジュニアが妹(姉?)に、『自分はゲイかもしれない』って言ってるのを偶然聞いちゃってさ、それからまだ2ヵ月もたってないんだ」
男性1「みんな、そんなことだろうと思ってたぞ」
男性2「そう言われたのはおまえで2人めだ。どうしてみんなにはわかったのに、俺だけわからなかったんだ?」
男性1「パットの雰囲気だよ。いつもちょっとソフトな感じだったろ?」
男性2「そうだな。しかし、チャーリー、俺ら両方ともゲイの子どもがいるってことなんだな。どうする? ふたりとも息子がゲイなんだぞ」
男性1「別にどうもしないさ。息子がゲイならそれでよし、もし俺たちの息子をオカマ(faggot)と呼ぶ子がいたら、フツーにその子たちの家に行って、親を巻き込んで大騒ぎしてやる」
男性2「なあ、ジョンとルシンダは、俺らが昔考えたみたいにくっつくってことはなさそうだな」
男性1「だな」
(ふたりともしばらく黙り込む)
男性2「おいチャーリー、おまえ今、俺と同じことを考えてんじゃね?」
男性1「0.5秒ぐらいは考えたけど、なんか妙な気分になって、別のことを考えるようにした」

Guy #1: I kid you not. Came out to me and Mary Ann bold as daylight last year.
Guy #2: Well I’ll be damned! I’m not supposed to know it but I overheard Patrick Junior tell his sister he might be gay not two months ago.
Guy #1: We all saw that coming though.
Guy #2: You’re the second person to say that. How’d everybody see it but me?
Guy #1: It was just a feelin Pat. He was always a little soft, ya know?
Guy #2: I guess you’re right. But damn Charlie, we both have gay kids. What do we do now? Both our sons are gay.
Guy #1: We don’t do anything. We let em be gay and if some kid calls em a faggot we go to their house and raise hell with the parents like normal.
Guy #2: Well I guess John and Lucinda won’t be getting together like we thought awhile ago.
Guy #1: Guess not.
 **long pause**
Guy #2: Hey Charlie, you thinkin what I’m thinkin?
Guy #1: I was for about half a second then it got weird and I started thinkin about somethin else instead.

解説するだけ野暮だけど、会話の最後の部分は、

  • 男性2「今黙ってる間、俺らの息子同士がくっついたらどうなるだろうと考えてたんだけど、お前も同じこと考えてたんじゃね?」
  • 男性1「俺もその可能性はちょっと考えたけど、なんか妙な気分になってきてやめたよ」

という意味だと思います。そりゃ、考えるよね。そうなったらそうなったでハッピーな展開なんじゃないかという気もしますが。あたしの下手な訳文が、少しでも原文の雰囲気を伝えててくれるといいんだけど。

それにしても、こんなお父さんがいたらゲイの子どもはうれしいよねえ。「もし俺たちの息子をオカマと呼ぶ子がいたら〜」のくだりも、性的指向が「隠すべき秘密」じゃなくて、ただの日常会話の一部になってるところもいい感じ。そうだよね、「うちの子、ゲイでさ」というのも、「うちの子、ピッチャーをやっててさ」というのも、本当はどっちもただの話題にすぎないはずなんだよね。
なお、この会話の全文が読んでみたい方は、以下をどうぞ。