南アフリカの女子アーチェリー選手、オリンピックでカミングアウト


2012年7月30日、南アフリカのアーチェリー選手でロンドン五輪に参加しているカレン・ハルツァー(Karen Hultzer)さんが、レズビアンであると公式に発表したそうです。

詳細は以下。

SBNation.comによると、ハルツァー選手はこれまで、性的指向を公言してはいなかったとのこと。アーチェリー個人の決勝戦がおこなわれる8月3日まで、メディアの注意を引きつけたくなかったのだそうです。一方、Mambaonline.comは7月12日、以下のように報じていました。


彼女のパートナーであるトレイシー・キム・ソーンダーズ(Tracey Kim Saunders)は、Mambaonlineに対し、ハルツァーは同性愛者のアスリートとみなされてうれしく思っていると語った。
Her partner, Tracey Kim Saunders, told Mambaonline that Hultzer is happy to be identified as a gay athlete.

これに引き続き、7月30日にハルツァー選手本人が、Outsportsに以下の公式声明を出したとのこと。


わたしはアーチェリー選手で、中年で、レズビアンです。朝はコーヒーを飲むまで怒りっぽいです。これらの要素のどれひとつとして、わたしがどんな人間であるかを定義しません。どれもただ単に、わたしの一部分であるにすぎません。幸運なことにわたしの性的アイデンティティは問題となっておらず、わたしは南アフリカの黒人レズビアンが受けているようなレベルの差別は受けていません。このことがわたしの目の色や、どんな寿司が好きかというのと同じぐらいどうでもいい些細なこととなる日が待ち遠しいです。
I am an archer, middle aged and a lesbian. I am also cranky before my first cup of coffee. None of these aspects define who I am, they are simply part of me. I am fortunate that my sexual identity is not an issue, and I don’t suffer the level of discrimination and violence that black lesbians in South Africa do. I look forward to the day when this is a non-issue and as relevant as my eye color or favorite sushi."

いい談話だと思うんですよね、これ。今ちょうど、レズビアンカップルに育てられた青年ザック・ウォルスの著書(『My Two Moms: Lessons of Love, Strength, and What Makes a Family』)を読んでるんですが、その中で彼が言ってることを思い出しました。「同性愛者の家庭」で育てられた子供についてあれこれ言う人がいるけれど、「ごくはこのラベルはばかばかしいと思う。ぼくの母たちはゲイな家に住んで、ゲイな車に乗って、ゲイな犬を飼っているわけではない――ぼくにわかる範囲では、だけど」と書いてるんですよ、ザックは。

そう、同性愛者であるかどうかなんて、人間のただの一要素に過ぎないんです。それだけでその人の全存在がひととおりに決まってしまうわけじゃない。ハルツァー選手がこのことを目の色や寿司ネタにたとえる一方で、ザック・ウォルスは靴下の色にたとえていたりしますよ。どちらもすごくよくわかります。

ちなみに南アフリカの女子オリンピック選手でカミングアウトしたのは、ハルツァー選手で2人目。1人目は、2004年大会にビーチバレーで出場したレイ=アン・ナイドゥー(Leigh-Ann Naidoo)選手なのだそうです。

残念なことにハルツァー選手は7月30日に個人戦で敗れています。カミングアウトが7月30日だったのは、ひょっとしたらそのためなんでしょうか。彼女の今後の活躍に、大いに期待したいです。