ジョージア州の大学院生、同性愛者についての見解が理由で退学の危機に


米国ジョージア州オーガスタ州立大学の院生が、同性愛者についての見解を理由として学校を辞めさせられそうになり、これを阻止してほしいと裁判所に要求しているそうです。

詳細は以下。

この大学院生Jennifer Keetonさんは、「性的倫理についての聖書に書かれている見解」を表現したことで大学から処罰を受けたと主張しています。ちなみにその「見解」には、性的行為は個人の選択によるものだという主張(早い話が、同性愛者は自ら好きこのんで同性愛を選んでいるのだとする考え方。同性愛を異性愛に『治療』できるとするキリスト教徒が好む考え方であり、科学的な根拠は発見されていません)も含まれていたとの由。

大学はこの院生に対し、多様性への感受性を育てるワークショップを取ったり、市のゲイ・プライド・パレードに参加したりしてはどうかと提案したのだそうです。が、Keetonさんの側は、見解を変えることを拒否したら退学にするとして脅されたと述べています。
Keetonさんの意見では、オーガスタ州立大は憲法修正第1条で保証された権利を侵害しているのだそうです。一方、大学の弁護士陣はこれに反論し、大学の全教職員はKeetonさんに倫理規定を守らせる以外ほとんど選択の余地がないと述べているとのこと。

「性的倫理についての聖書に書かれている見解」って、要するに「男がもし、女と寝るように男と寝るなら、ふたりは忌みきらうべきことをしたのである。彼らは必ず殺されなければならない。」(レビ20:13)とか、そういう部分なわけでしょ。その手のキリスト教的「見解」や、性的指向は選択によるものだとする決めつけによってどれだけの同性愛者が抑圧され、暴力をふるわれ、殺されてきたのかを思うと、キャンパス内でこうした言論を野放しにすることは単なるヘイトスピーチの黙認だと思います。もしこの大学の倫理規定に性的指向に基づく差別を禁ずる条項があるのなら、当然退学になってしかるべきでしょう。それが嫌なら、どこか差別を禁止していない学校に編入すればいいのに。差別禁止条項に性的指向の項目を入れようとしない学校だってあるわけですからね。
今回の件では、大学側がワークショップやパレードへの参加を勧めたりして、ずいぶん歩み寄っていると思うんですよ。にもかかわらず「脅された」「権利を侵害された」って、いったいどういうことなのか。Keetonさんはこの件を2011年12月6日に連邦巡回控訴院に持ち込む予定だとのことで、判決がどうなるのか続報を待ちたいと思います。

単語・語句など

単語・語句 意味
hold O1 to O2 O1(人)に2(約束など)を守らせる