『旅する清志郎。』(BE-PAL編集部、小学館)感想
旅する清志郎。(DVD付) (SJムック) ビーパル編集部 小学館 2009-08-20 売り上げランキング : 162843 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
小学館BE-PAL編集部の手による、忌野清志郎の自転車旅ムック。清志郎の自転車旅の写真多数にインタビュー記事などを添え、特別付録として初公開映像のDVDをつけたものです。DVDの内容は以下の通り(帯より)。
このムックは2009年8月発行で、つまりは一種の追悼本にあたります。にもかかわらず辛気くささが薄いところが、ポイント高いです。ただし、写真も文章も、先日レビューした『サイクリング・ブルース』と同一のものが相当多く、正直「使い回し」感は否めません。あれの版を大きくして、写真を増やして、BE-PAL編集部が書いた文章をあっちこっちにつけ加えた感じかなあ。特典映像も画像が粗い上に、テレビの旅番組の未消化な断片みたいだったりします。楽曲「サイクリング・ブルース」のプロモーションビデオはとてもよかったんですが、このためだけに1500円払うかというと、かなり人を選ぶんじゃないでしょうか。そんなわけで、どちらか1冊しか買わないのであれば、『サイクリング・ブルース』の方がおすすめです。あっちの方が、なにかにつけて「濃い」と思います。
そうはいってもやはり、旅する清志郎の姿は真摯かつキュートだし、彼の滑らかなペダリングも、旅の途中で外国人サイクリストとSPDの話をするところなんかもたいへん興味深く鑑賞しました。LSDを愛する清志郎のこと、やっぱりペダルもSPDだったんですね。あ、それから、こんなくだりもよかった。
なお「サイクリング・ブルース」のプロモーション動画は、こんなです。惜しい人を亡くしたねえ、ほんとに。
もしもぼくらが風ならば、きっと世界はこういうふうに見えるのでしょう。
するするすると動く風景の真ん中で、ぼくらは未来の夢を見ています。
贅肉は落ちるし、カゼひかなくなるし。ビールも白めしも、あーすごくうまい。
夜はぐっすり眠れるようになります。生活はシンプルな方がいいと思えてきます。
自分の力で進むという単純なことに気づきます。個人主義? 自己責任?
だから会社をやめちゃう人までいる。ただの移動手段じゃありません。
それは、ぼくらにとってすごく大切な「何か」を変える乗り物。