同性愛を“治療する”キリスト教団体のiPhoneアプリ禁止を求め、6500人以上が署名

祈りと回復療法で同性愛を「治療」できるとするキリスト教団体「エクソダス・インターナショナル」(Exodus International)が作ったiPhoneアプリに反対する運動が始まっています。このアプリは「男性、女性、両親、生徒、そして聖職の指導者に役立つよう設計」されているという触れ込みのもので、iTunes storeで無料でダウンロードできるとのこと。Change.orgでは、アップルに対しこのアプリを禁止するよう求める署名が既に6500人分以上集まっています。

詳細は以下。

念のためここでおさらいしておきますが、現代の科学では、同性愛者を異性愛者に変えることが可能であるというエビデンスは確認されていません。医学や精神医学、そして心理学の専門家は、同性愛を「治療」するという触れ込みの療法は効果が期待できないばかりか、むしろクライアントに有害である可能性があると指摘しています。詳しくは以下をどうぞ。

エクソダス・インターナショナル」のアプリのレーティングは4+で、これは「反対すべき内容なし」という意味です。しかしながら、このアプリに対する反対運動を始めた「トゥルース・ウィンズ・アウト」(Truth Wins Out)というLGBT団体は、「エクソダスのメッセージは悪意に満ちており、頑迷である」と述べています。以下、同団体の意見。


「(エクソダスは)クライアントを集めるために流言戦術やまちがった情報やステレオタイプを用い、LGBTの生活を歪曲している。専門家たちによる主な医学団体のすべてがこの手のいわゆる『回復療法』を否定しているにもかかわらず、彼らはクライアントの性的指向を『変える』ためにそうした療法を用いることを推奨している」
“[They] use scare tactics, misinformation, stereotypes and distortions of LGBT life to recruit clients. They endorse the use of so-called ‘reparative therapy’ to ‘change’ the sexual orientation of their clients, despite the fact that this form of ‘therapy’ has been rejected by every major professional medical organisation.”

また、エクソダスのアプリへの反対運動を展開しているGay Rights Petition: Demand that Apple remove "ex-gay" iPhone app | Change.orgには、こうあります。


アップルはappストアに人種差別的なアプリや反ユダヤ的アプリを置くことは許可しません、しかし、性的指向は「心を病ませる罪」で「うわべだけのもの」であるというメッセージで無防備なLGBTユースを狙うアプリには青信号を出すのです。これは、甚大な被害をもたらしうるダブルスタンダードです。
Apple doesn't allow racist or anti-Semitic apps in its app store, yet it gives the green light to an app targeting vulnerable LGBT youth with the message that their sexual orientation is a "sin that will make your heart sick" and a "counterfeit." This is a double standard that has the potential for devastating consequences.

2010年のカリフォルニア州同性婚裁判では、26歳のゲイ男性が、「10代のときに受けさせられた性的指向の『治療』のために自殺寸前まで追い込まれた」と証言しています。自分の性的指向に悩むティーンエイジャーが、こうした宗教団体のアプリをお手軽にダウンロードして、その結果余計に追い詰められるなんて事態にならなければいいのですが。

ちなみにアップルは2010年11月、「同性愛は不道徳」「同性婚を認めるのは近親相姦を認めるも同じ」という宣言へのサインアップを促すiPhoneアプリを承認した後、反対運動に遭ってストアから撤去しています。にもかかわらず、またこういうアプリを許可しちゃうんですね。審査基準はいったいどうなっているのかと、疑問に思います。