病院でのLGBT家族の面会権を護る規則が米国でスタート


2011年1月18日、米国全土で、病院での患者の面会権に着目した連邦規則が発効しました。これは、メディケイド(低所得者医療扶助制度)とメディケア(老齢者医療保険)に入っているすべての医療機関に、ということは実質的には米国のあらゆる医療機関に、性的指向ジェンダーアイデンティティーなどを根拠に患者の面会権を侵害しないようにと要求するものです。
詳細は以下。

元記事にもあるんですが、昨年フロリダ州マイアミの病院で、あるレズビアンが病に倒れた同性パートナーとの面会を拒絶され、臨終にも立ち会えなかったという事件がありました。具体的には、こんなです。


パートナーの死に目に遭えなかったのはJanice Langbehnさん。同性の恋人Lisa Pondさんと共に3人の養子を育てていたレズビアンです。2007年2月、Langbehnさんはパートナーや子供たちと一緒に同性愛者向けのクルーズ「R Family」に参加していました。クルーズの最中にPondさんが脳の動脈瘤のために倒れ、フロリダ州の病院に運ばれることとなりました。
マイアミ市のジャクソン記念病院(Jackson Memorial Hospital)の職員たちは、Langbehnさんと子供たちを病床のPondさんに面会させることを拒否しました。このカップルが法的な必要書類を揃えていたにもかかわらずです。伝えられるところでは、病院職員はLangbehnさんに対し、あなたは同性愛反対派の州と市にいるのだと述べ、彼女の法定代理人としての権限を認めなかったとのこと。Langbehnさんと子供たちは、Pondさんが昏睡から死に至るまでの8時間もの間、面会を拒絶されたままだったそうです。

この一件を受け、オバマ大統領は保健福祉省に対し、病院での面会権を護るため規則を見直すようにという大統領覚書を2010年4月に出していました。ヒューマン・ライツ・キャンペーンは、今回発効した新しい規則について、以下のように述べています。


国中のレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの(LGBTの)人々とその家族が、人生でもっとも困難なときに一緒にいられるという単純な、しかし計り知れないほど重要な権利を初めて連邦から保護されるのである。
For the first time, lesbian, gay bisexual and transgender (LGBT) people and their families across the country will have federal protections for a simple, yet immeasurably important right – to be able to be together in some of life’s most difficult times.

規則がなければこんな当たり前のことすら保証されないという事実が悲しいですが、ともかくこれはひとつの進歩だと思います。どうか新しい規則が遵守され、悲しい思いをする人がいなくなりますように。

単語・語句など

単語・語句 意味
designate 明示する、示す、指し示す
memorundum 覚書
Department of Health and Human Services 《米》保健(福祉)省、厚生省