マレーシアで男性同士の愛を描いた映画が検閲を通過

イスラム教徒が多数派を占めるマレーシアで、男性同士*1の愛を描いた映画“Dalam Botol”(意味は『瓶の中』)が検閲を通過したそうです。同性同士の性行為が最高で懲役20年の刑となるこの国では、これは大きな快挙。今年前半に同国の検閲のガイドラインが緩和され、同性愛者のキャラクタの描写が認められたため、このような映画も検閲を通ったということらしいです。ただしこのガイドラインでは、同性愛者が悔い改めるかバッドエンドを迎えるかするという内容しか許可されていないのだそうで、まだまだ諸手を挙げて喜ぶというわけにはいかないようです。

詳細は以下。

この映画“Dalam Botol”にはセックスはおろか裸もキスシーンもなく、ハリウッドの基準からいけばむしろ刺激が少ない範疇に入ります。が、マレーシアでは性的指向や政治、宗教などを扱う映画は取り扱いに慎重を要し、この作品もまず検閲を通らないだろうと思われていたとのこと。

Raja Azmi Raja Sulaiman監督によると、この映画は2人の男性が登場する「悲劇的なラブストーリー」。同性愛者のキャラクタをネガティブに描かなければいけないという制約に関しては、「間接的に」自責の念を表現させるという方法がとられているそうです。ちなみに映画のタイトルはもともと“Anu Dalam Botol”(『瓶の中のペニス』)だったのが、検閲委員会の反対に会って改題したとのこと。また、下着姿の男性が登場するシーンも、委員会の提案で削除したそうです。

既に40箇所もの劇場がこの映画の2月公開を予定しており、批評家は大当たりを予期しているとのこと。

これ、ちょっと見てみたいです。日本でも公開されるか、あるいはDVDが発売されるといいなあ。せめて北米版DVD(英語字幕つき)が出てくれると、嬉しいんですが。

単語・語句など

単語・語句 意味
deem 《文》…だと考える[思う]
remorse 良心の呵責、自責(の念)、後悔

*1:厳密には男性とトランス女性なのではないかともと思いますが、元記事(ニューヨークタイムズ)の"two lovers are both men"という表現を尊重しました。