フェイスブックでLGBTユースの自殺をあざけった教育委員、辞職すると表明

米アーカンソーの教育委員会メンバー、LGBTユースの自殺防止キャンペーンを中傷 - みやきち日記の続報です。フェイスブックにアンチゲイな書き込みを行い、LGBTユースの自殺を愚弄した米アーカンソー州教育委員が、委員の職を辞すことになったそうです。
詳細は以下。

この事件をもう一度おさらいしておくと、これまでの流れは以下の通りです。

  1. 2010年9〜10月に、米国でLGBTユースの自殺が多発(参考:ゲイいじめのため、この1ヶ月で米国の10代男子4人が自殺 - みやきち日記
  2. 2010年10月20日、自殺した若者のためにパープルを着ようというキャンペーン(Spirit Day)が北米で行われる
  3. 米国アーカンソー州ミッドランド校区の教育委員Clint McCance氏、このキャンペーンについて、フェイスブックに「カマ」「変態」などの語を繰り返し使用したホモフォビックな書き込みを行う
    • 内容は、「奴らが全員自殺したら、そのときだけは奴らのためにパープルを着てやる」「カマどもが子供を作れないのはいいな。それに、彼らがよくエイズを移し合って死ぬという事実も楽しい」など。
    • 前回のうちの記事ではカバーしきれていなかったんですが、「もしうちの子が同性愛者だったら縁を切る」とも書いていたそうです。
  4. 批判殺到

アーカンソー州の法律では、本人による重罪や欠席(不在)以外の理由では教育委員を辞めさせることはできないのだそうで、どうなることかと思っていたら、McCance氏自ら退職の意を表明したとのことです。「私のコメントで人々を傷つけたことを謝罪します」「どんな子供の自殺も支持しません」「どんな子供に対するいじめも支持しません」とは、McCance氏の弁。

McCance氏が言うには、例のフェイスブックへの書き込み以来、彼のもとには批判が殺到し、中には「何千件もの電話、ヘイトメイル、McCance氏やその家族を殺すという脅迫」もあったのだそうです。氏は妻とふたりの子供を、安全を考えて州外に避難させたそうで、家には防犯装置をつけるつもりだと語っています。


「因果応報です」と彼はCNNに語った。「私はありとあらゆるレベルのヘイトスピーチを自分と家族に対して大量に浴びせられました」
"I'm reaping what I've sown," he told CNN. "I've had a lot of hate speech thrown at me and my family on every level."
とあるけど、そりゃあれだけの強烈なヘイトを公の場で垂れ流せば、自分にだって返ってくるわよ。「これはこの社会ではこのように受け取られる発言なのだ」ということもわからず、あそこまで無邪気に同性愛嫌悪を開陳しちゃったこと自体が驚きだわ(とは言え、脅迫したり無関係な家族まで巻き込んだりするのは、抗議者の側もやりすぎだとは思いますが)。州外と言わず、いっそウガンダにでも本人が移住すれば、好きなだけホモフォビアを表明して生きていけるんでしょうけどね。ウガンダにだってカーペットクリーニング業(McCance氏の営んでいるビジネス)の需要はあるでしょうし。

なおClint McCance氏の問題書き込みに対しては、フェイスブックWear Purple Until Clint McCance Resigns! | Facebook(意味は『Clint McCanceが辞職するまでパープルを着よう!』)、Fire Clint McCance | Facebook(同『Clint McCanceを辞めさせよう』)などのページが作られたほか、アーカンソー州教育コミッショナーのTom Kimbrell氏、ミッドランド校区、州教育省などからも強い批判が寄せられているそうです。

付記

「ゲイ」「同性愛」「自殺」などのキーワードでこのエントリに飛んできた人のため、日本国内での相談窓口のリストへのリンクを張っておきます。今、困った状態にある方は、まず電話を。

単語・語句など

単語・語句 意味
spectrum 範囲
disown (著作などを)自作でないという、…の自分との関係を否認する、(子を)勘当する、縁を切る
reap as [what] one has sown まいた種を刈り取る、因果応報