米テネシー州のレズビアンカップル、「殺す」と脅され家を焼かれる

米国テネシー州のVonoreという町に住んでいたレズビアンカップルが、近隣住民から嫌がらせと脅迫を受け続けたあげく、2010年9月4日、家を焼かれてしまったそうです。幸いこのカップルと、同居の娘は無事で、現在は居所を伏せて安全な場所に避難しているとのこと。
詳細は以下。

上記記事の写真を見る限り、家屋はすっかり焼け落ちてしまったみたいですね。母屋と離れていたために焼け残ったガレージの壁には、スプレーペンキで「変態ども」("Queers")と書かれているのが見えます。
このカップルは造園技師のCarol Ann Stutteさん(47)と看護師のLaura Stutteさん(48)。16年間つきあっており、この家には5年前に越してきたのだそうです。引っ越した直後から近隣に住む女性住民の嫌がらせが始まり、この夏にはそれが特にひどくなって、「お前たちの家を焼いてやる、そしてお前らを殺してやる」と脅されていたとのこと。

現在、州警察と地元警察が、放火とヘイトクライムの可能性ありとして捜査中だそうです。Carol AnnさんとLauraさんは隠れ家に移り住み、Carol Annさんの娘で、ふたりと同居していたKimberly Hollowayさん(26)も、居所を伏せて別の場所に住んでいるとのこと。

ちなみにこのレズビアンカップルがこれまでに受けた嫌がらせは、

  • 車回しに釘を撒かれる
  • ボートを牽引するトレーラーの大型ボルトをゆるめられる
  • ジョークと称して「死んだ変態("a dead queer")より良いものって何? 答えは『2人の死んだ変態』("two dead queers")」などと言われる
  • 家を焼く、殺すと脅迫される

など。それでもこのカップルが家にフェンスや鉄の門などをつけるだけで誰にも相談せずにいたのは、「平和を保ちたかったから」。ついに家を焼かれて何日かたってから、2人はようやく脅迫されていたことを明かしたのだそうです。

事がおおやけになってからは、2人には援助の手がさしのべられています。教会では義援金集めが始まり、同性愛者団体も、お金や衣類、洗面用品、ドッグフードなどの寄付を集めています。

Stutteさんは、


「憎しみではなく愛で満ちた人の方が確実にたくさんいることがわかりました」
"I learned there are definitely more people out there who are full of love instead of hate,"

として支援に感謝しつつも、


「でも、私たちがVonore界隈に越してくることは二度とありません。あの隣人の家族がたくさんいますから」
"But we will never move back to the Vonore area again. The neighbor has many family members."

と話しているそうです。



同性愛者への差別や偏見に反対の意を表明すると「いちいち騒ぐな」「騒ぐから差別されるのだ」という人が必ず出てきます。
でも、このカップルは騒がずに5年間耐えたあげく、家を焼かれてしまいました。
口をつぐんで耐えていても、差別者を図に乗らせるだけです。そして、「黙れ」「騒ぐな」という圧力もまた差別や暴力の一環。屈してはならないと思います。

単語・語句など

単語・語句 意味
landscaper 庭師、造園技師、造園家