「聖パトリックの日のパレードからLGBTを排除するな」アイルランド系同性愛者団体、ニューヨーク市警を非難

米国の同性愛者団体「アイリッシュクィア」(Irish Queer)が、聖パトリックの日のパレードにLGBTを参加させないのはホモフォビックだとしてニューヨーク市警を非難しているというニュース。

聖パトリックの日というのは3月17日で、この日にはアイルランド守護聖人St.Patricを記念したお祭りが行われます。しかしながら、ニューヨークで行われるお祭りパレードでは、「宗教的行事だから」という理由で警察がLGBTを排除しているのだそうです。以下、アイリッシュクィアのジェフ・マリガンさんの言葉。


「今やアイルランドでもニューヨーク市でもアンチゲイな差別は違法です。ニューヨーク市警や、ニューヨーク消防局や、ブルームバーグ市長は、時代に追いつく必要があります。
“Anti-gay discrimination is now illegal in both Ireland and New York City. The NYPD, FDNY and Mayor Bloomberg need catch up.
同様に警察に抗議しているユースタシア・スミス(Eustacia Smith)さんは以下のように言っています。

「毎年パレードを見るたびに、クィアは警察に助けを求めるより、警察から逃げる方が安全なのだと思い出されてしまいます」
“Every year, the parade reminds us that, if you’re queer, it’s often safer to avoid the police than to call on them for help.”
アイルランドって、国外で行われた同性婚の効力を容認しているし、昨年にはシビル・パートナーシップ法も成立してるし、さらには政治家がポーランド大統領の同性愛嫌悪発言を非難したりもしていて、そこまでLGBT嫌悪的ではないと思ってたんですけど。……と思ったら、本国アイルランドはダブリンのLGBT団体も、パレードからのLGBT排除は「きわめて非アイルランド的」として批判しているそうですよ。さらにPinknews.co.ukのコメント欄にも、


アイルランドのパレードではLGBTは歓迎されています。あの馬鹿な「アイルランド系」アメリカ人たちは19世紀の時空の歪みにはまり込んで動けなくなっているんです。

LGBT people are welcomed in the parades in Ireland. Those silly 'Irish'-Americans are stuck in a 19th century time warp.

というコメントがありました。本国でパレードに参加できるんなら、ニューヨークでだって参加できていいはずだと思うんですけどね。宗教を旗印にLGBTをパレードから閉め出しているアイリッシュアメリカンは、かつてダブリン市長がポーランド大統領のホモフォビックな発言*1を批判したときに語った次の言葉をよくよく噛みしめるべきなのでは。わざわざお祭りで緑の服を着て緑色のビールを飲みながら*2不寛容や嫌悪を強調したいわけではないのでしょう?


社会のあらゆる人びとには共存する権利があるという考え方を拒否した場合、不寛容や嫌悪が表面化する。

*1:「同性愛を容認することは人類破滅を導くものである」と言ったんだそうですよ。参考:http://gayjapannews.com/news2007/news37.htm

*2:聖パトリックの日にはアイルランドの色である緑色のものを身につけるという風習があります。緑色のビールというのも本当にあります。