スコットランド政府、レズビアンに平等な体外受精の権利を与えるかどうか検討

スコットランド政府が、レズビアンカップルにNHS(国営医療機構)を利用した体外受精を認めるかどうか検討するため顧問グループを設立したというニュース。この顧問グループの助言で、来年早期からレズビアンへの体外受精が公式に認められるのではないかと期待されているとのこと。

スコットランドでは今年、Caroline HarrisさんとJulie McMullanさんのレズビアンカップルが、平等な体外受精の権利を求めてNHS Greater Glasgow and Clydeと争っていました。NHSは当初、HarrisさんとMcMullanさんが不妊カップルの定義に適合しないと主張していましたが、訴訟を起こすと言われて前言撤回したんだそうです。

現在では、このNHS Greater Glasgow and Clydeは、レズビアンカップルに無料で体外受精を提供しているそうです。他にBordersやHighlandのNHSも同様の措置をとっているとのこと。

以下、政府のスポークスウーマンがタイムズに対して語った内容です。


「現在のガイドライン同性カップルを特に排除するものではなく、実際同性カップルに人工授精を提供するNHSがあることもわかっています。
「しかしながら、スコットランド全土で首尾一貫してそうされているわけではないことはわかっており、我々はこの問題について考察するため、一度専門家のグループを設立して意見を聞く予定です」
“The current guidelines do not specifically exclude same-sex couples and we know that some NHS boards do provide infertility services to same-sex couples.
“However, we realise that this is not consistent throughout Scotland and we will ask the expert group, once set up, to consider this issue.”

やはりというべきか、スコットランドカトリック教会はこの計画に反対だそうです。以下、同教会スポークスマンの台詞。


「子どもを作れないライフスタイルを選んだ人たちのためにばかげた無駄遣いがなされるのを、恐ろしい病気に苦しんでいる人や、必要な医療が受けられずにいる人が見たら、腹を立てるに違いありません」
It must be galling for people who are suffering from terrible illnesses, who can’t get the treatment they need, to see a frivolous waste of money on people who have chosen a lifestyle that is incompatible with having children.”

「〜に違いありません」って、その場にいもしない架空キャラの心情を勝手に代弁してバッシングされても困るんですが。なぜ堂々と一人称を使って「私は反対だ」と言わない? まるで映画『ワイルド・スワン』の一場面の、「私は差別なんかしないんだけどあの人たちが気を悪くするだろうから」と他人のせいにして中国系ヒロインの排除をたくらむ糞意地悪い白人オバサンみたいな無責任さだわー。そもそもセクシュアリティを「選ぶ」ことができるのかどうかも、議論の余地がたっぷりだしさ。

個人的には、なんでもかんでも血のつながった子どもにこだわらずとも養子をもらうって手もあるんじゃないかと思いますが(世界は行き場のない子であふれてますし)、だからと言って「お前ら同性カップルだから人工授精はダメ」と医療サービスから締め出されるいわれもないのもまた確か。阿呆な横槍に負けず、公正な議論が進んでくれるといいと思います。

単語・語句など

単語・語句 意味
IVF in vitro fertilization、体外受精
NHS National Health Service (国営医療機構)
back down あとへ引く、取り消す、(前言・約束などを)撤回する
galling いらいらさせる、腹の立つ、しゃくに障る、腹立たしい
frivolous うわついた、ばかげた