米国心理学協会、同性愛者を異性愛者に『治療』するセラピーに反対


同性愛は心理療法によって「治療」したりできるような病気ではなく、「治療」して性的指向を変えようという試みはかえって害をもたらす――。米国心理学協会(APA)の専門委員会は8月5日、「同性愛者の性的な指向は変えられる」と信じる一部の精神療法士らの回復療法(reparative therapy)は誤りであり危険だとする決議を行った。
1960年以降に性的指向の改変に関し英語で発表された83の研究内容を精査した専門委員会によると、それらの研究のほとんどに方法論的な不備があったという。「しっかりした方法で行われた研究は極めて少ないですね」と、委員会を率いたジュディス・グラスゴールド医師は語り、「回復療法を支持する人々の主張とは異なり、心理療法を行うことで性的な志向が変わり得ることを示す証拠は見つかりませんでした」と結論づけた。

Advocate.comによると、これは米国心理学協会が1997年に行った研究をアップデートするために行われた研究なんだそうですが、今回も回復療法またはEx-gay(同性愛者を異性愛者に『治療』するというふれこみのセラピー)の有効性は認められなかった模様です。
なお、同協会が5日に発表したレポートでは、セラピストにはクライアントの性的指向を変えようとする代わりに「禁欲から教会の変更までの多様なオプション」を検討することを勧め*1、同性愛者の親や、若者や、家族などに対しては、「同性愛を精神病や発達障害として扱うような治療は避ける」ように助言している*2とのことです。

単語・語句など

単語・語句 意味
American Psychological Association 米国心理学会
intervention (病気などの)治療処置
at most せいぜい
assumption 考え
flaw 欠陥、欠点、不備、きず