「アフリカのゲイ男性間のHIV蔓延はホモフォビアが原因」:オックスフォード大が「ランセット」誌に発表
英国の医学専門誌「ランセット」に、「サハラ以南のアフリカでは、ゲイ男性のHIV感染率は男性一般の感染率の10倍」「この高感染率は、人々の偏見に起因する」という研究結果が発表されたというニュース。
この研究はオックスフォード大で行われたもので、偏見がゲイ男性を孤立やハラスメント被害に追い込み、リスクの高い性行動を引き起こすと示しているとのこと。代表研究者のAdrian Smith氏は、
に言及し、BBCの取材に対して
「男性同士の行為または同性愛に対する、社会のあらゆるレベルの根深いスティグマと敵意」
"profound stigma and social hostility at every level of society concerning either same-sex behaviours amongst men, or homosexuality".
と述べているそうです。
「このために、この集団(訳注:ゲイ男性のこと)には極端に手が届きにくくなってしまっています」
"This has the consequence that this group becomes extremely hard to reach."
このことについて個人的に連想したのが、まず、以前うちのサイトでも紹介した、10代レズビアンは異性愛者より妊娠のリスクが高く、ゲイ・バイセクシュアル男性も、同年代の異性愛者に比べると女性を妊娠させた率が4倍高いというニュース。あれもやはり、同性愛者/両性愛者は孤立への恐怖や周囲からのスティグマ視などが原因でリスクの高い性行動に走っているのではないかという指摘がありましたよね。根っこは同じなんじゃないですかね、これ。
あともうひとつ、このへんやこのへんでも紹介しましたが、インドでソドミー法やホモフォビアのためにセイファー・セックスの普及が困難になっているという一件とも共通するものがあると思うんですよ、これ。実際、インドのラクナウでは、男性間のHIV予防に取り組むアクティヴィストが警察に拘留されたりしているそうですし*1。あ、よく考えたら、セネガルでもHIV/AIDSと戦う運動をしていたゲイ男性9人が「変態的ふるまいと不自然な行い」を名目に懲役8年もの刑に処せられたりしていますね*2。インドもサハラ以南のアフリカも、似たような状況だということでしょうか。
いずれにせよ、一部の異性愛者が「ゲイはエイズまみれ」などと言って偏見を煽る(日本にもそういう人はいっぱいいますが)のはかえってゲイ男性のHIV感染率を上げる可能性があるわけで、何そのマッチポンプ、と思いました。HIV/AIDSってやっぱり、単純に「コンドームを使いましょう」とポスター貼るだけじゃ片付かない問題なんだなあ。厄介だなあ。
単語・語句など
単語・語句 | 意味 |
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sub-Saharan | サハラ以南の |
profound | 根深い |
consequence | 結果、成り行き、帰結 |