スウェーデン、LGBTフレンドリーな老人ホーム実現に一歩前進

スウェーデンストックホルム市で、LGBT向けの老人ホームを作る計画が進められているというニュース。

同市には、10年以上前から「性的少数者のための特別な老人入居施設を作ろう」という計画があったとのこと。経済不況のためなかなか進まずにいたこの計画ですが、最近、市が老人ホームの多くを私営化すると決めたため、営利団体の参入が可能になり、ついにプロジェクトが進展し始めたとのことです。

プロジェクト・リーダーのChrister Fällman氏は、以下のように語っています。


「私たちが望むのは、老人ホームの入居者が、長年面会に来てくれている恋人のことを『あの人は私の恋人だよ』とホームのスタッフに言えずにいるという、今日でも時々起こる事態を回避するということです」
"What we want to avoid is the situation which sometimes occurs today where a guy doesn’t dare to tell nursing home staff that it’s his boyfriend of however many years who is coming for a visit.

同氏は、LGBTフレンドリーなホーム作りを、民族集団のために特定の言語に合わせたホームを作ることになぞらえています。


「既にフィンランド語話者のためのホームはありますし、トルコ語話者や、ギリシャ語話者、スペイン語話者のための老人ホームもまもなく作られます」と彼は語った。
「私たちは、LGBTレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人々が『自分の言葉で話せ』て、ありのままの姿で安全だと感じられる老人ホーム作りを目指しています」
“There are already nursing homes for Finnish speakers, and soon we will also have them for Turkish, Greek, and Spanish speakers,” he said.
“We’re looking to create a nursing home where LGBT [lesbian, gay, bisexual, and transgender] people can ‘speak their own language’ and feel secure in who they are.”

ちなみにこの老人ホームは同性愛者限定でもLGBT限定でもなく、誰でも入居可能なものになるとのことです。「クローゼットの中に戻るのだとは思ってほしくありません。このホームにはどんな人でも入居できます。これは新しい形の差別撤廃となるでしょう」とFällman氏は述べています。

いいなあ、このホーム。老境にさしかかってまでいちいちパートナーのことを「友達」とカモフラージュさせられたり、あるいは「いつも来るあの人は何者?」と好奇の目で見られたりするなんて、嫌だもんなあ。ましてや「旦那さんは?」とか「お子さんは?」みたいな、一方的にこちらをヘテロと決めつける会話に参加させられるのもまっぴらだし、何より危篤のときにパートナーには「友達」だからと連絡が行かないなんてことになったら最悪だし。ババアになって気力体力が弱ってからぐらい、『自分の言葉で話せ』る環境で安心して暮らしたいよね。

ちょっと調べてみたところ、既にドイツなどにはゲイとレズビアン専用のホームがあるみたいですね。


所長のケルスティン・ヴェッカーは、自身もレズビアンだ。この建物は、3フロアあり、「花」と名づけられた最上階が、同性愛者専用になっている。看護師と職員も、半数は同性愛者だ。 「老人というのは、自分たちの過去の恋愛について話すものですが、その話を聞いてくれるのが同じ同性愛者だったほうが、ずっと話しやすいですからね」とこの老人ホームの創設者は語る。
うんうん、わかるわかる。こういう入居施設が世界中にもっとたくさんできるといいのになー。

単語・語句など

単語・語句 意味
cater 用命に応ずる、要求を満たす
privatise …を民営化する、民間セクターに移管する、私営化する
help O along (事)の進展を助ける、(事)を前進させる、
downturn 下降、沈滞、下落
liken たとえる、なぞらえる
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