カリフォルニアのレズビアンカップル、病院で差別に直面

先日カリフォルニア州最高裁同性婚を禁止するProp 8を支持したため、アメリカ国内では多数の抗議集会が開かれました。これは、皮肉にもこうした抗議集会の最中に倒れて病院に運ばれたレズビアンとそのパートナーが、病院で差別的な扱いを受けたというニュース。

事件が起こったのはカリフォルニア州フレズノ。パートナーのTeresaさんと共にMeet in the Middle 4 Equalityという集まりに参加していたレズビアンのKristinさんは、デモ行進で14マイル歩いた後てんかん発作で倒れ、救急車が呼ばれました。以降、起こったことを箇条書きでまとめます。

  1. 救急隊員、Teresaさんが救急車で同行することを拒否。
  2. ようやく救急車に乗せてもらうも、病院に着くや否や、Teresaさんは付き添いを拒否される。
  3. 救急隊員が病院の看護師に、Kristinさんは同性愛者の権利運動で14マイル歩いた後に倒れたと説明。
  4. 看護師、Kristinさんを意地悪くじろじろ見ながら「まああああ」("ooooh.") *1と発言。
  5. Kristinさん、看護師にTeresaさんと会わせてくれと頼むも、「面会謝絶区域だから」と拒否される。
  6. 「なぜ他の人には面会者がいるのか」と質問するも、「あの人たちは別」と言われる。
  7. Kristinさんが眠った後、看護師がベンゾジアゼピン剤「アティバン」を投与。実はそれは、Kristinさんの体質ではひどい頭痛を引き起こす薬だった。
  8. Teresaさん、病院側にかけあい、Kristinさんに携帯を届けてもらう。以下、この携帯でふたりが話をして判明したこと。
    • 実はTeresaさんは、Kristinさんにアティバンを投与しないようにと看護師たちに言っていた。だが、看護師たちは拒否した。
    • 看護師たちは、Teresaさんのメディカル・カードをKristinさんに渡すことも拒否した。
    • 看護師たちはさらに、Kristinさんのアドバンス・ディレクティブ(意思決定能力を失った際の代理人や、どのような医療を受けたいかについて前もって指示しておく公的文書)や委任状をファックスで取り寄せることも拒否した。
    • TeresaさんがKristinさんに会わせてくれと何度も頼むも、看護師たちは彼女の"Marriage Equality"(『結婚の平等を』という同性婚推進スローガン)と書かれたTシャツをじろじろ見るだけで、拒否。
  9. Kristinさん、医師に、Teresaさんと会わせてくれと頼む。
  10. 医師、逆になぜTeresaさんは一緒にいないのかと質問。
  11. 「面会謝絶区域と言われた」と説明すると、医師は妙な顔をし、「私がなんとかしよう」と部屋を出る。
  12. 数分後、Teresaさんが病室に。
  13. でも、Teresaさんはなぜか、受付では「病室には数分間しか入ってはいけない」と言われていた。
  14. 結局、医師の前では看護スタッフが態度を変え、Teresaさんは病室にいていいことになる。

KristinさんとTeresaさんはこの後、法的アドバイスを求めてアメリカ自由人権協会に相談しているとのことです。

先日「同性カップルは病院でどう扱われているか?(その1)」および「同性カップルは病院でどう扱われているか?(その2)」で紹介したのと同じような事例ですよね。どう考えてもただの嫌がらせなんだけど、体質的に合わない薬についての情報提供まで拒否って、医療従事者のやることか。アドバンス・ディレクティブの取り寄せ拒否だって、もし生死にかかわるような事態だったらどうするつもりなんでしょう。同性愛者であるというだけで、本人が希望する医療なり意思決定の代理人なりを全部無視していいとでも?
というわけで、非常に腹が立つ事件でした。日本でも似たようなことが起こらないとは言い切れないだけに、対岸の火事では決してないですよね、これ。

*1:とりあえず看護師が女性だったものと仮定して訳しましたが、男性だった場合は「へええええ」ぐらいの訳語になるかと。