うっわー、わかるわかる!
別にレズビアン小説ってわけじゃないんだけどすごく面白いコージー・ミステリ『死体にもカバーを』(エレイン・ヴィエッツ[著]/中村有希[訳]、東京創元社)を読んでたら、レズビアンキャラのこんな胸のすくような啖呵(pp. 322 - 323)が!
「当ててみようか。ページ・ターナーの殺人をわたしにおっかぶせれば、あなたの友達のペギーが自由になれると思ったんでしょ。ブラッドが教えてくれたわ、わたしがあの晩、どこにいたのか、あなたに訊かれたって。同性愛者に罪をかぶせるのは簡単だものね。わたしたちはもう、ノーマルじゃないことしてるんだもの。殺人だってしておかしくないってわけ」
ネタバレ防止のためどんな状況下の台詞なのかは伏せておきますが、この怒りにはほんと「うっわー、わかるわかる!」と叫んでしまいました。セクマイだっていうだけでいきなりサイコパスやレイピストや連続殺人鬼と同一視しちゃうストレートって、ほんとに多いもんなー。近年のオタクバッシングを見てもわかる通り、とかくマイノリティは顕在化したとたんにマジョリティの「まともな俺達、異常なおまえら」という鋳型にぶち込まれて犯罪者予備軍扱いされがちなんですよね。やですね。
ちなみにこのレズビアンキャラ、ドクター・マーチンと黒ジーンズと金具だらけのベルトに身を固めていたりして、すごくレズビアンらしい存在であり、そんなところも面白かったです。さすが『荊の城』の中村有希さん訳の小説(って、関係ないか)。前述のように別に同性愛に焦点を当てた小説ってわけではないのですが、よく練られた大爆笑コージー・ミステリの中にこんな風にぴりりと辛いスパイスが仕込んであるところが大変痛快でした。これはシリーズ2作目なんですが、3作目もとても楽しみです。
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