「百合は/BLは/やおいはファンタジーなんだから、何したっていいだろ」というノンケの発想って「旅の恥はかき捨て」っていうのと同じだよな

同性愛に対する偏見や誤解たっぷりの作品を好んで作ったり流通させたりしておいて、同性愛者から「それ迷惑だからやめて」と言われると、「ファンタジーなんだから何したっていいだろ」と開き直るノンケは多いと思います。で、思うんですが、これって、日本人に多い「旅の恥はかき捨て」って感覚に非常に近いんじゃないでしょうか。つまりこういう人にとっては百合やBLややおいは「旅先」すなわち非日常であって、だから何してもいいんだと信じきっているんじゃないかと思います。

でも、ある人にとっては「日常とは無縁な観光地」であるものが、地元住民にとっては「ごくあたりまえに一生暮らしていくふるさと」だったりするんですよね。「自分の日常生活とつながってない場所でなら、ふだんはしないような恥ずかしいことをしてもかまわない」というのが「旅の恥はかき捨て」ですが、その場所がまさに日常生活の場である人だっているわけです。人のふるさとにズカズカ上がりこんできて「ここは観光地なんだから何やったっていいだろ」っていうのはないだろう、と思うわけです。

と言うと、「百合は(BLは、やおいは)ヘテロヘテロのために作った娯楽だからいいんだ!」みたいなことを言われそうですが、そもそも同性同士が愛し合うという世界自体が、ヘテロの所有物なんかではありえないはず。それはあくまで、ゲイやレズビアンバイセクシュアルの領土でしょう。他人の版図に自分たち用のレジャーランドを建てるところまではいいとしても、そこからゴミ(偏見やら同性愛嫌悪やら間違った知識やら)をざかざか撒き散らして、「私たち/俺たちにとっては旅先なんだからいいじゃん」と開き直るというのは、やはり誉められたことではないと思います。というか、ありていに言って、迷惑なんですよ地元住民としては。

まとめ

「自分にとって非日常的な場所では、迷惑行為をしたっていいんだもーん」っていうのはやめませんか、もうそろそろ。それって、旅行先でサービスエリアのごみ箱に家庭ごみを捨てたり、高山植物をむしり取ったり、由緒ある建造物に落書きをしたりして「何が悪い」と開き直る大バカ者たちと変わりませんよまったく。

追記

上記は、「百合/BL/やおいは現実の同性愛に即した、リアリズムに徹した内容でなくてはならない」という意味の話ではありませんよ。念のため。創作物なんだから、いくら現実離れしていたっていいわさ。むしろその方が面白いわさ。そういうことじゃなくて、創作物を使ってヘイトスピーチを垂れ流しておいて「『現実とは違う世界なんだから』いいじゃん」って開き直るのは通らないよ、ということです。