刷り込み

あたしの親友は幼稚園児のお子さんに、「みやきちさんは女の人とつきあってて、彼女さんと一緒に暮らしているんだよ」と教えてくれているんですけれども、お子から時々質問が来るんだそうです。「どうして? 女の人同士なのに。女同士だと結婚できないじゃん」と。

すげえな、人は生後数年にしてもう「人は結婚するべきもの」「女同士は結婚できない」って刷り込まれてるものなんだなあ。でも考えてみりゃ『白雪姫』も『シンデレラ』もみんな、主人公が王子様と結婚するところでハッピーエンドになってるし、目につくところにはそうそうレズビアンカップルっていなさそうだから、物心つく頃には刷り込み完了で当然なのかも知れませんけど。

性格のねじれてるあたしなんかは、おとぎ話を読んでても、「いざ結婚したら王子がビール瓶みたいな巨根で、セックスがものすごい苦痛だったらどうすんだろ」とか「王宮で『庶民出の成り上がり娘め』と苛められたらどうするんだろう」とか、そういう下世話なことばっかり考えてしまうんですけどね。でもおとぎ話ではそういう可能性には一切触れず、「末永く幸せに暮らしました」だしさ、単純化されまくったロールモデルって強力だわやっぱり。

あたしの友人みたく、根気良く子どもに「女の人同士でも付き合えるんだよ」「別に結婚しなくても仲良しで楽しく暮らせればいいじゃん」と反論してくれる親御さんばっかりならまだいいんだけど、現実にはそうじゃないんだろうなー。自分は不幸な結婚をしているくせに、そこからは目をそむけて「結婚はすばらしい」「結婚イコール幸せ」と娘に刷り込もうとする母親なんて、掃いて捨てるほどいそうだわ。ああ、やだやだ。いっそ自分でレヅ版の絵本でも作ろうかしら。結末は、「仲良しの女の子ふたりで、アホな王子を見捨てて一緒に暮らすことにしました」とか、そういうハッピーエンディングでさー。