パブロフの犬

ここを読んで、「努力は必ず報われる」という世界は不健康きわまりないのだな、と思いました。日本人はこの「努力は〜」というお題目が大好きですが、現実には努力したって報われないことが多いですよね。で、仕方がないから、「報われねーなー」と文句を言いながらも日々生きていくのが人間というものでしょう。しかしネトゲの世界では、努力はほぼ100%報われてしまう。時間と労力さえかければレベルは上がり、資産は増え、仲間や恋人もでき、ゲーム内で「結婚」さえできてしまう。「努力→報奨」という条件付けをほぼ完璧な形でやられるわけだから、巨大な「パブロフの犬製造機」ですよこれは。溺れ切って人生台無しにする人が続出するのも無理は無いと思います。

考えてみれば、高度経済成長期の会社システムなんてのも巨大な条件づけの場ですよね。「社畜となって粉骨砕身すれば、いずれは係長に、課長に、部長にとクラスチェンジできる!」「長期間勤め上げれば、給料が上がっていく!」というお約束のもと、他の全てを犠牲にしてまで会社にのめりこんだ人は山ほどいたわけで。結局、人を奴隷化して金なり労力なりを無尽蔵に貢がせるためには、こうしてパブロフの犬を作りまくるのが一番の早道なんだろうな。みんなちょっと我に帰って筋少でも聴くといいと思うわ。リング・ア・ベルで涎を垂らしてる場合じゃないよほんとに。