投影同一化(『「ニート」って言うな!』より)

ろくでもない男にくっついて、文句ばっかり言いつつも別れずにズルズルつきあい続ける女っているじゃないですか。なんかもう悲劇のヒロインになりきって愚痴とか悪口とかをずーっと言い続け、周囲に「別れれば?」と言われてもあれこれ理由をつけてなかなか別れないの。そういう人っていったい何が楽しいんだろうかと思ってたんですよ。
アル中の妻なんかは「共依存」という概念で説明できるけど、それ以外は何なんだろうと思っていたら、昨日読んでた『「ニート」って言うな!』で触れられている「投影同一化」という現象で説明し得ると気づきました。以下引用。(p172より)

投影同一化においては、自己の分裂した一部が、対象(他者)に投影され、自己の一部でありながらそのまま投影先(うつわ)の中で生きられます。そしてこの投影された自己の一部が自分に都合のよい仕方で生きられるように、投影先(うつわ)としての他者を実際に操作し、その後にそのうつわのなかで都合よく加工された自己が再同一化されます。
つまりダメ女がダメ男にへばりついて愚痴と憎しみを垂れ流すのは、自分の中の不全感を相手に投影して、その人を外側から支配してしまおうという試みなわけですよ。「私の中の憎いものに対して、私があなたの中にそれを見いだして、あなたをいじめる」(p180)と言い換えることもできます。アル中の妻も、結局はこれだなあ。もっと言ってしまうならば、ネット上で自分の好みでないサイトにわざわざ降臨して「ここがいかん、あそこがいかん」と文句を言い垂れるバカなんかも、これと同じですね。こういう不健康な人には近づかんとこ、と思ったです。
「投影同一化」という概念はこれまで知らなかったので、いろいろ読んでみようと思ってます。さしあたって『いじめの社会理論―その生態学的秩序の生成と解体』Amazonに発注してみました。楽しみ。

マックスターンの思ひ出

昨日トリノ五輪開会式でマックスターンをキメるF1カーを見ながらあたしが思い出していたのは、古いバイク友達のTくんのことです。以下、Tくんのエピソード。

Tくんはある日、友人一同と共にバイクでキャンプ場に行きました。テントを張った後でキャンプ場が混み始め、Tくんのバイクが押し歩きで出せなくなるようなクソ邪魔な位置にまで、他のキャンパーのテントがぎちぎちに張られてしまいました。朝、「T、おまえバイク出せるの?」と仲間に心配されて「かんたんかんたん」と答えたTくんは、その場でバイクのエンジンをかけ、轟音とともにマックスターンでズゴゴゴゴと180度回転をかましました。なおTくんのバイクは、乾燥重量391kgのホンダGL1500ゴールドウイング。周囲の善良な親子連れキャンパーたちの目が点になっていたそうです。
ゴールドウイングの大きさがぴんと来ない方は、「下手なハーレーよりでかい」「普通の人が『大きい』と感じるバイクを2台くっつけてダンゴにしたぐらいの大きさ」だと思ってくだせい。爽やかな朝のキャンプ場でそんな巨大な鉄の塊にまたがって土煙を上げながらマックスターンって普通しない、つか、そもそも技術的にできんわ!! なんかあたしのバイク友達ってこんな人ばっかです。