米ラトガース大学1年生男子、男性との性行為をルームメイトにストリーム配信され自殺

米国ラトガース大学の1年生男子が、同性との性的行為を寮のルームメイトに隠し撮りされ、さらにライブストリーミング配信されて、ハドソン川で投身自殺したそうです。隠し撮りと配信にかかわった容疑者2名は最高で懲役5年の刑だとのこと。皮肉にも同大学では、新しいテクノロジーの使用と濫用に特別な注意を払うようにと教える“Project Civility”なる2年間のプロジェクトが始まったばかりだったそうです。

詳細は以下。

事の発端は、2010年9月19日にTwitterで流れたこのメッセージでした。


「ルームメイトが夜中の12時頃まで部屋を使わせろと言ってきた。モリーの部屋に行き、ウェブカムのスイッチを入れた。あいつが野郎とやってるのを見たぜ。本当に」
“Roommate asked for the room till midnight. I went into molly’s room and turned on my webcam. I saw him making out with a dude. Yay.”

このツイートをポストしたラトガース大の学生は、さらに、ルームメイトの性行為をネットでストリーム配信。3日後、ネットに盗撮動画を流されたTyler Clementiさん(18)は、ジョージ・ワシントン橋からハドソン川に身を投げました。「スター・レッジャー」紙によると、Clementiさんはこの日、フェイスブックに「gwから飛び降りる、ごめん」と書いているそうです。同日夜、警察はハドソン川のこの橋の北で若い男性の死体を発見し、同定中であると発表しています。

大学や高校でClementiさんを知っていた人々によると、彼は優しくてシャイで、音楽を熱愛するバイオリニストだったとのこと。

ミドルセックス郡検察局は、ClementiさんのルームメイトDharun Ravi氏(18)と、別のクラスメイトMolly Wei氏(18)を、プライバシーの侵害に関する2つの罪状で告発。最高で懲役5年の刑だそうです。なお、Ravi氏は保釈金25000ドルで保釈され、Wei氏は誓約書を書いて釈放されています。

冒頭でも書きましたが、ラトガース大学はちょうど“Project Civility”(直訳すれば『礼儀正しさ計画』)という2年間のプロジェクトを開始したばかり。人との触れ合いにおける敬意や思いやり、礼儀の重要性への注意喚起を目的としたパネルディスカッションや講義やワークショップが予定されていたそうです。大学当局からは、容疑者2名が停学になるかどうかは発表されていないそうですが、Richard L. McCormick学長は「もしこれらの告発が正しいのであれば、こうした行動は大学の品位と慈愛の模範を深刻に踏みにじるものだ」と述べているとのこと。

このニュースを読んで最初に思ったのが、「もしClementiさんのセックス相手が異性だったら、盗撮動画をストリーム配信されただろうか」「配信されたとして、Clementiさんは自殺しただろうか」ということです。ちなみにClementiさんは性的指向を明らかにしていなかったんだそうですよ。バカな大学生はどこにでもいるものですが、だとしてもこの事件はひどすぎます。事実が究明され、犯人たちが厳罰に処せられるよう祈ります。

2010年10月4日付記

「ゲイ」「同性愛」「自殺」などのキーワードでこのエントリに飛んできた人のため、日本国内での相談窓口のリストへのリンクを張っておきます。

上記のWebページには、各種団体が行っている、

  • 同性愛者のための総合「ヘルプラインサービス 」
  • トラブル/ゲイバッシング相談
  • こころの相談
  • からだの相談
  • かぞくの相談
  • HIV/AIDS相談
  • 同性愛者のための恋愛、人間関係、からだ、エイズ、その他 電話相談
  • LGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーインターセックス)の当事者やその家族、友人にむけての電話相談
  • セクシュアル・マイノリティ悩み相談ホットライン

などの電話番号のリストがあります。今、困った状態にある方は、まず電話を。

単語・語句など

単語・語句 意味
civility 礼儀正しさ、親切、丁寧(さ)
surreptitious こっそり得られた、内密の、内緒の、だまして手に入れた、不正の、無許可の
anguish 苦悶する
uncanny 異様な、神秘的な、不可解な、超自然的な、尋常でない、ぞっとさせる、気味の悪い
decency 品位
humanity 慈愛
recognizance 誓約書、誓約保証金