「新世代のサッカーファンはゲイのサッカー選手に寛容」英調査で

英スタッフォード大、サッカーファンのホモフォビアの調査に着手 - みやきち日記の続報です。調査の結果、同国のサッカーファンにはカムアウト済ゲイの選手を容認する「新世代」が育ちつつあるという結果が得られたとのことです。

この研究を行ったのは文化・メディア・スポーツの教授であるEllis Cashmore氏と、社会学の上級講師Jamie Cleland氏。2000人のサポーターをオンライン調査したところ、サッカーには同性愛者を受け入れる余地はないと考えている人はわずか7%と判明したとのこと。93%の人が、「サッカーにホモフォビアは許されない」「ホモフォビアはサッカーの恥」と思っているとわかったということです。

ロイターの電話取材に対し、Cashmore教授は「直観に反した結果であり、非常に驚いた」と話しているそうです。教授はまた、ホモフォビアは今や、英国で1970年代から80年代にかけて衰退した人種差別主義と同等の存在だと述べ、「サッカーファンは、ネアンデルタール風の粗野で頭の回りの鈍いマッチョタイプで、同性愛はいまだにタブーだと信じているような人として描写されてきたが、実際には変わってきている」「新しい世代のサッカーファンが生まれている」と語ったとのことです。

これは確かに「直観に反した結果」かも。(英国の)サッカーファンって、確かに荒っぽくてホモフォビックなイメージがありましたし。

ただ、ここで「ホモフォビックでない新世代=若い世代」と考えてしまうのはちょっとズレているかもしれません。というのは、先日紹介したこちらの研究では、10代の子供の間で、同性愛者とスポーツについてこんな意見も見られたからです。


万一興味を持たれたら困るから、もしゲイのチームと対戦することになったら心配すると思う。異性愛者と対戦するのなら、何も起こらないってわかってるけど。(サイモン、16歳)
I would be worried playing a gay team in case they were interested. When you are playing against straight people you know nothing would happen. Simon, 16

ほんとに気持ち悪い、同じ体育の授業に出たら、更衣室で見られちゃう。(ハンナ、12歳)
It’s just weird, you share the same PE lessons and they could be watching you in the changing rooms. Hannah, 12

どうしてノンケ(の一部)はこうも自分には同性愛者から見て性的魅力があると思い込めるのか*1謎ですが(こちとら同性の身体なんかガキの頃から見慣れてるっていうのに)(つーかこの人たち、『異性の身体=禁忌=見たら即興奮すべきもの』というヘテロ的な規範を勝手に同性愛にまで当てはめちゃってるんだろうなあ)、ええと、つまり若けりゃ即ホモフォビアがないというわけではないみたいなんですね。Cashmore教授の言う「新しい世代」というのは必ずしも年齢だけで輪切りにできるものではなく、サッカーファン全体の中にホモフォビアの少ない一群が台頭しつつあるということなんじゃないか、とあたしは受け止めました。人種差別主義者が決してなくならないように、同性愛に偏見を持つ人もゼロにはならないと思いますが、この新しい世代がさらに育って「ネアンデルタール」たちを圧倒しちゃってくれるといいなと思います。

単語・語句など

単語・語句 意味
counter-intuitive 直観に反した
blight 枯らす、破壊する、枯れる

*1:もちろん、異性愛者の全部が全部そんな風に考えるわけではないということはわかってますが。