米同性婚反対派「同性婚容認は自然な生殖関係に害をおよぼす!」→地裁主席裁判官「どんな害?」→同性婚反対派「……(答えられず)」

現在米国では、カリフォルニア州での同性婚禁止を違憲だとする裁判が持ち上がっています。上記は、同性婚反対派の団体がこの裁判を取り下げるようにとサンフランシスコ地方裁判所に要求し、却下されたというニュース。

この団体の名前はProtect Marriage。カリフォルニア州での同性婚を禁ずるProp8(提案8号)を支持してきたグループです。同団体のCharles Cooper弁護士の主張は、同性婚禁止は「自然な生殖関係」を促進するために必要というものでしたが、Vaughn Walker主席裁判官は彼にこのように尋ねたそうです。


「あなたは同性カップルの結婚を認めることが生殖に害をおよぼすと略説しましたが、その害とは何ですか?」
"What is the harm to the procreation purpose you outlined of allowing same-sex couples to get married?"

Cooper弁護士は、わからないと答えざるを得なかったとのこと。

Walker主席裁判官はさらに、最近自分が担当した異性婚についても言及したとのことです。その結婚では女性が80代、男性が90代で、子供を作ることは期待できなかったとのこと。

もしも同性同士は生殖できないから結婚を認めないということであれば、当然、高齢の異性愛者が結婚する権利も剥奪しなければなりませんよね? でも現状では、生殖年齢を過ぎた異性愛者の結婚は認められている。こんな点からも、Cooper弁護士の主張はおかしいということです。

主席裁判官はまた、(同性婚の)子供たちへの悪影響がこれまで発見されているかどうかと尋ねたそうですが、それに対してもやはり、Cooper弁護士は「わからない」と答えるより他なかったとのこと。ほかにもいくつかのやりとりがあり、結局、2009年10月14日、Protect Marriageの申し立ては却下されたとのことです。

まずはアンチゲイな人々の底の浅さを露呈してみせたWalker主席裁判官のお手並みに拍手。具体的に何が害なのか説明すらできないのに「害があるから禁止せよ」だなんて、そんな主張がまかり通っちゃ困るわ。とりあえず、今後生殖至上主義を振りかざして同性愛や同性婚をバッシングする人を見かけたら、異性愛者のじーさんばーさんの恋愛や結婚は禁止しなくていいのかと突っ込んでみることにします。「わしゃあ、死ぬまでお前さんとゲートボールがしたい」「留吉さん……!」「ヨネ、結婚しよう」みたいな関係まで「子供が作れないからダメ!」と一律禁止できるもんなら、してみやがれってんだ。

単語・語句など

単語・語句 意味
district judge 地方裁判所判事
chief judge 首席裁判官、下級裁判所長官
outline …の要点を(人に)述べる、概説する、略説する、概要を述べる
adverse effect 悪影響