米国連邦裁判所、「病院が患者の臨終にレズビアン・パートナーを立ち会わせなかったことは違法である」との訴えを却下

2009年9月29日、米国連邦裁判所が、「病院が患者のいまわの際にレズビアン・パートナーを立ち会わせなかったことは違法である」との訴えを却下したというニュース。

パートナーの死に目に遭えなかったのはJanice Langbehnさん。同性の恋人Lisa Pondさんと共に3人の養子を育てていたレズビアンです。2007年2月、Langbehnさんはパートナーや子供たちと一緒に同性愛者向けのクルーズ「R Family」に参加していました。クルーズの最中にPondさんが脳の動脈瘤のために倒れ、フロリダ州の病院に運ばれることとなりました。

マイアミ市のジャクソン記念病院(Jackson Memorial Hospital)の職員たちは、Langbehnさんと子供たちを病床のPondさんに面会させることを拒否しました。このカップルが法的な必要書類を揃えていたにもかかわらずです。伝えられるところでは、病院職員はLangbehnさんに対し、あなたは同性愛反対派の州と市にいるのだと述べ、彼女の法定代理人としての権限を認めなかったとのこと。Langbehnさんと子供たちは、Pondさんが昏睡から死に至るまでの8時間もの間、面会を拒絶されたままだったそうです。

以下、この訴訟を起こしていたLGBT権利団体「ラムダ・リーガル」の声明文より引用。

「今回の法廷の判断は、同性カップルやその家族が危機にあたっていかに弱い立場に置かれるかということを、悲劇的なまでに明確に描き出してみせました」と、アトランタにあるラムダ・リーガル南部地区オフィスの弁護士スタッフBeth Littrellは語った。「ジャニスが今回の件で家族のために勇気を持って公正を求めたことで、より多くの人々が同性愛差別の犠牲についてわかってくれるといいと思います。こんな事件は、どんな人にも起こってはなりません。

“The court’s decision paints a tragically stark picture of how vulnerable same-sex couples and their families really are during times of crisis,” said Beth Littrell, Staff Attorney in Lambda Legal's Southern Regional Office based in Atlanta. “We hope that because of Janice’s courage to seek justice for her family in this case that more people better understand the costs of antigay discrimination. This should never happen to anyone.”

まるでTV映画『ウーマンラブウーマン』レビュー)の第1話(余談ですが、あたしはこの話がトラウマになってしまって、最初に見てから丸数年というものこのDVDを見返すことができませんでした)みたいな事件ですね。胸が痛みます。あの第1話の舞台は1961年だというのに、それから半世紀近くたってもこんなもんですよ世の中は。

単語・語句など

単語・語句 意味
dismiss 却下(棄却)する
aneurysm 動脈瘤
motion (法律)申し立て
stark 全くの、正真正銘の、明々白々な、動かしがたい、くっきりした