テキサス州のゲイバー「レインボー・ラウンジ」強制捜査事件で、TABC職員が3名解雇に

今年の6月に米国テキサス州フォートワースのゲイバー「レインボー・ラウンジ」が警察とテキサス州酒類取締委員会(TABC)の強引な踏み込み捜査に遭った事件の続報です。この件に関し、TABCの職員3名が解雇され、他に2名が懲戒を受けたとのことです。

この強制捜査は、ストーンウォール40周年の2009年6月28日、6人の警察官と2人のTABC捜査官によって行われました。こちらでも触れましたが、バーにいた客たちは正当な理由なく腕をねじられたり首を絞められたりなど、過度の暴力をふるわれたと主張しています。また、客のひとりChad Gibson氏は、逮捕時に頭蓋骨骨折の重傷を負わされて病院に運ばれています。

今回解雇されたのは、捜査に参加していたChristopher Aller捜査官とJason Chapman訓練生、及び彼らの上官であるTerry Parsons巡査部長。この3人のおこなった違反行為は、以前こちらで触れた通り、捜査時の暴力を上に報告しなかったことや、服務規程違反などです。また、Parsons巡査部長の上司であるLieutenant Gene Anderson警部補は3日間の給与なしの停職処分を受け、Robert Cloud警部は書面によるけん責を受けたとのこと。

なお、フォートワース警察のJeff Halstead署長は最終的な報告書は9月か10月になると言っており、その報告書で、警察官たちが過度の暴力をふるったり規則違反を行ったりしたかどうか、懲罰が必要かが結論づけられるとのことです。

Pink Newsによると、レインボー・ラウンジが強制捜査されるきっかけとなったのは、「数日前、店の何人かの客が酔っぱらっていると報告されたから」。日本人には意味がわかりにくいところですが、アメリカの法律って公衆の面前で酔っぱらうことに厳しいんですよね、たしか。試しにWikipediaでテキサス州酒類取締委員会(TABC)のページを見てみると、過去に同委員会が行った取り締まりについて、こんな話があります。


2006年に、委員会は「ラスト・コール」というオペレーションを展開したが、これにより、バーや他のアルコールを提供する店の客たちが酩酊のかどで逮捕された。オペレーション「ラスト・コール」任務部隊長David Alexander警部はこう語っている。「バーに行くのは酔っぱらう機会を得るためではない……楽しむために行くのであって、酔うためではないのである」
In 2006, the Commission led Operation Last Call, in which persons in bars and other alcohol serving establishments were arrested for being intoxicated. Said Captain David Alexander, head of the Operation Last Call Task Force, "Going to a bar is not an opportunity to go get drunk...It's to have a good time, but not to get drunk."[5]

そんなわけで、今回も客が酩酊していたという情報を受けて踏み込んだということらしいのですが、だからと言って客の頭蓋骨をへし折ってもいいというわけではもちろんありませんよね。処分がなされたということは、少なくともTABCは捜査に不手際があったと認めたということで、一歩前進だと思います。9〜10月に警察からどのような報告書が出るのか、注意して見守りたいと思います。

単語・語句など

単語・語句 意味
discipline 懲戒を与える
undue 不当な、過度の
reprimand 譴責
unprofessional 職業上の規則[倫理]に反する