カナダ・オリンピック委員会、ゲイ・チャットラインのロゴが「オリンピックのロゴと似すぎている」として抗議→その後撤回

COC(カナダ・オリンピック委員会)が、バンクーバーを拠点とするゲイ・チャットライン(複数の通話者が会話できる電話サービス)"Interactive Male"のロゴが「1970年代に使われていたオリンピックのロゴと似すぎている」として抗議していたのを引っ込めたというニュース。

問題のロゴは上記リンク先で見ることができます。2人の男性が手をつないでいるシンプルな絵柄が「I」と「M」の文字を表しており、その下に"interactive male"と書かれているというものです。この会社は、2004年からこのロゴを使用しています。

カナダ・オリンピック委員会は、2006年にこのロゴについて苦情を申し立てていました。IとMのマークの部分が、1976年のモントリオール・オリンピックで使われたレスリングのロゴと似ている、というのがその理由です。

これについてInteractive MaleのJoe Rachert部長は、

  • 同社は北米での広告に年間1000万円を費やしており、このロゴを維持することが重要
  • アメリカ合衆国では既にこのロゴが受け入れられている
  • いったい誰がゲイ用のチャットラインをオリンピックと関係あると思うのか?

と抗議していました。今回、COC代表のIsabelle Hodge氏は、「あらゆる情報を調査した結果、この絵文字がオリンピックの絵文字と混同される可能性はほとんどないという点でInteractive Maleに同意した」として、7月7日(火)に抗議を取り下げたとのことです。

それにしても、モントリオール・オリンピックのレスリングのロゴねえ……。モントリオールでオリンピックがあったことすら知らない世代も既に多いわけですから、21世紀のゲイ向け電話サービスのロゴと、そんな昔のオリンピックの一競技のロゴを取り違える人自体がめったにいなさそうですよね。あと、「人と人とが手を取り合っている図式」を簡略化したら、どうしたってある程度は似てきてしまうと思うんですよ。試しに今、「wrestling pictogram」で画像検索してみたらこんな結果が出たんですが、それで出てくるロゴだってどれもInteractive Maleのものに似てるっちゃ似てるし、似てないっちゃ似てない感じです。この程度でいちいち苦情を申し立てていたら、きりがないんじゃないかという気もします。正直、ゲイ向けのサービスのロゴだったから過剰に反応されていただけなんじゃないか、という印象はぬぐえません。

もちろんオリンピック委員会には権利を守る義務がありますし、これも仕事の一環だというのはわかるんですけどね。ともかく抗議が撤回されてよかったと思います。

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