辛酸なめ子さんの新刊タイトルが秀逸な件について

先日のエントリ「『セックスのあと男の子の汗はハチミツのにおいがする』(おかざき真里、祥伝社)感想」で、女のコ同士の親密な関係に「甘い甘い不思議な場所」「女の子の王国」などと夢見がちな美化がほどこされていることにちみっと苦言を呈してみたわたくしです。書き終わった後もしばらく「女子同士なら即ラブラブでアマアマでキャッキャウフフのパラダイスが作れるってのは、脳内になんか湧いてるクソヘテロの妄想だよなー」などと考えていたところ、本日タイムリーに見つけた辛酸なめ子さんの新刊タイトルがあまりに秀逸だったので大ウケしました。これよ、これ! 女子の本質はこれ↓!!

女子の国はいつも内戦女子の国はいつも内戦
辛酸 なめ子

河出書房新社 2008-03-10
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『女子の国はいつも内戦』。わはははは。もしも「女の子の王国」なるものがあったとしたら、その実態はきっとこれでしょう。嘘だと思ったら大手小町(つか、発言小町)でも、2ちゃんねる最強と謳われる既婚女性板でも見に行かれるがよろしい。または、女性社員が多い会社での足の引っ張り合いや陰口合戦、女子校でのいやがらせやイジメなんかを思い浮かべてみられるがよろしい。当たり前だけど、単に「性別が女同士である」というだけでいきなり何の悩みもないいちゃいちゃラブラブ仲良し空間が魔法のように出現するわけ、ない。
にもかかわらず女のコ同士の関係に「甘やかな秘密の楽園」的な安易な美化をしたがる人は多いんですが、結局そういう人って自分が異性とうまくいかないのを個体差ではなく性差のせいにして思考停止し、「性別が同じ同士ならもっとうまくいくはず」と夢見てるだけなんじゃないかと思います。でも、それ、なんか根底から間違ってますから。性別が何であろうと人間関係は結局「個」と「個」のぶつかり合いなわけで、そこがわかってない人は男相手だろうと女相手だろうとうまく行きませんから。隣の芝生ばっかり涎垂らして見てないで、まずは自分ちの芝生を大切にケアしろっつー話ですね。

というわけで、今後は女のコ同士の関係を変に美化した百合作品等を見かけたら「でもそこ、内戦地帯ですから」と心の中でツッコむことにしようと思います。そう、女子の国はいつも内戦。いや、実は男子の国や男女の国だって同じだと思いますけど。どこの国にいようとも、銃弾飛び交い地雷が火を噴く中でがっしと手に手を取り合えた相手こそがソウルメイトだったり恋人だったりするんじゃないかとあたしは思っています。