『放浪息子(7)』(志村貴子、エンターブレイン)感想

放浪息子 7 (BEAM COMIX)放浪息子 7 (BEAM COMIX)
志村 貴子

エンターブレイン 2007-12-25
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意外でした

い……意外なカップルが2組成立(※片方は『カップル』と呼ぶには微妙かもですが。『仲良し』ぐらいかな?)。まさか、こう来るとは!

放浪息子』は、ごくおおざっぱに言うと、女の子になりたい男の子・二鳥修一くんと、男の子になりたい女の子・高槻よしのさんのお話です。これまで二鳥くんは4巻で高槻さんに告白して振られ、6巻でもクラスメイトの千葉さんから「これは二鳥くんの願望だわ 女の子になって男の子の高槻さんに…」と指摘された、という経緯があります。なのでてっきり「波乱はありつつも二鳥・高槻カップル路線で落ち着いていくのかな」と思っていたのですが、7巻でいきなり予想の裏の裏をかかれました。びっくりです。
今回のカップル成立に関しては、非常に面白い点がふたつあると思います。まず、とある人の告白のシーンを時系列で追わず、「実はこんなことが」という事後承諾のかたちでさらりと読者に提示していること。もうひとつは、また別のある人の好きな気持ちや嬉しい気持ちが、台詞ではなくチロルチョコというメタファーを使ってそっと表現されていること。これらは両方とも、お話の力点が「恋(または友情)の行方および盛り上がり具合」よりむしろ「思春期の少年少女の揺らぎ」の方にあることを指し示していると思います。そのあたりがとても『放浪息子』らしくていいなあと思いました。今後二鳥くんや高槻さんがどちらの性別として(あるいは、どちらの性別でもなく)どんな人からどのように愛されたい/どんな人をどのように愛したい人に成長していくのか、楽しみに見守っていきたいと思います。