『黒いカクテル』(ジョナサン・キャロル、創元推理文庫)感想

凶悪なまでに面白い短編集。何の予備知識もなしに本屋で立ち読みを始めたら、途中でやめられなくなり、買って帰るはめになりました。「『アイリッシュっぽいかな?』と思いながら読み始めたのに、途中でロアルド・ダール風の毒が混じり、バリー・ユアグロー風の奇妙な展開も混じり、気がつくと『これぞジョナサン・キャロル』としか言いようがない不思議なオチまでぐいぐいと引っ張って行かれてしまう」という表現でどんな感じか伝わるかなあ。無理矢理カテゴライズするなら「ダークな幻想小説」とでもいった作風なのですが、「こんなすごいもん書く人がいたのか!」と久しぶりに驚きました。ジョナサン・キャロルの作品は創元推理文庫からあと6冊出ているらしいので、みんな読んでみるつもりでいます。
最近めっきり精神が隠居化し、本と言えば好きな作家のをAmazonで頼んでばかりだったのですが、こういう出会いがあるからやっぱり本屋巡りはさぼっちゃいけないな、と反省いたしました。