映画『Once upon a Mattress』感想

「お姫さまと豆」というおとぎ話を下敷きにしたミュージカルコメディ。DVDでちょっとだけ見るつもりが、一気に90分見てしまいました。

何がいいってトレーシー・ウルマンのお姫さまが最高! トレーシー・ウルマンと言ってわからなければ、『アリー・マイラブ』で頭おかしい精神分析医を演じたあの女優です。メガネかけててエキセントリックで、アリーに「人生のテーマソングを歌いなさい」と強要するあの人ね。この作品でもエキセントリックぶりは相変わらずで、登場後に熱唱する"Shy"なんて最高です。「誰がhorribly shyやねん、お前がhoribbleじゃ!!」と笑い転げさせられました。

"Shy"はサラ・ジェシカ・パーカーのバージョンで歌だけ聴いたことがあったんだけど、歌の背景をぜんぜん知らなかったので、今回このDVDを見ていろいろ納得しました。に、しても、サラ・ジェシカ・パーカーの声がいかにも若く可憐なお姫さまなのに対し、トレーシー・ウルマンの方はパンチがきいたひとくせある声で、それがかえって役にふさわしくてよかったです。不細工で変人で、でもそこが魅力的っていうキャラじゃないと話が面白くならないよね、これ。

あと、言うまでもないけどキャロル・バーネットの意地悪な王妃っぷりが最高に良かったです。衣装やカブリモノといい表情といいまるでドラァグクイーンなんだけど、よく考えたらドラァグの方がキャロル・バーネットを模倣してるんだよね。先日『プロデューサーズ』の感想を書いたとき、ゲイリー・ビーチの女装を「既に伝統芸能の域」と評したけど、これこれ、こういうのが伝統芸能の基本中の基本なのよ! と思いました。

というわけですげー楽しい映画でした。どうしてこういうものを日本でも発売しないのか、心底不思議。(英語字幕で見れば用は足りるから、北米版でもいいと言えばいいんだけどさー……)