セルビアのサッカーファン、プライド・パレードに反発し「ゲイを殺せ」と落書き
セルビアのサッカーチーム「パルチザン・ベオグラード」「レッドスター・ベオグラード」のファンたちが、ベオグラード市で予定されているプライド・パレードへの反感から、町中の建物にホモフォビックな落書きをしているというニュース。地元のゲイ・コミュニティは国際サッカー連盟(FIFA)になんらかの措置をとるよう依頼していますが、いまだFIFAは行動を起こしていないとのこと。
元記事にある落書き現物の写真を見ると、壁にペイントで「オカマに死を サウスゲート」なんてことが書いてあります。ちなみに「サウスゲート」とはサッカーのファン団体の名前。いちいち「署名」つきでこういう落書きをしてるってことです。ベオグラードの多くの建物に、このようにゲイを殺せと呼びかけるものを含む同性愛嫌悪的な落書きがほどこされており、そのほとんどが、レッドスター・ベオグラードまたはパルチザン・ベオグラードのファングループの「署名」入りなんだそうです。
2週間前、セルビアの「ゲイとレズビアンのインフォ・センター」ほかいくつかのNGOは、セルビアサッカー連盟に対し、「このようなメッセージから距離を置き、同性愛者を殺せという呼びかけを非難してほしい」と要求しました。が、同連盟はこれを無視。結局、チューリヒのFIFA本部に手紙を送ることになったとのことです。
これらのヘイトスピーチならぬヘイト落書きは、9月20日にベオグラードで予定されているプライド・パレードに対して行われているもの。セルビアとバルカン半島のゲイ・レズビアン向けウェブサイト「GayEcho」のPredrag Azdejkovic編集長は「ベオグラード市内を歩くのが怖いです。あらゆる街角で(ホモフォビックなメッセージを)見かけるから」と述べています。
またAzdejkovic氏によると、ベオグラード市長はプライド・パレードに反対で、どうして性的指向をひけらかして宣伝しなければならないのか理解できないと言っているそうです。ただし市長は暴力そのものには反対であり、落書きがベオグラードについてよくないメッセージを発していることや、市の景観をそこなっていることは憂慮しているとのこと。「でも、誰もベオグラードの壁からこうした落書きを消そうとはしていません」とはAzdejkovic氏の弁。
ちなみにFIFAのスポークスマンはUK Gay Newsに対し、「適切な書面で詳細を把握しない限り、事件について推測することはできない」と言っているとのこと。
サッカー界がホモフォビックなのは今に始まったことではなく、たとえばゲイジャパンニュースの過去記事をちょっと調べるだけで、以下のような例が簡単に見つかります。
- サッカー・プレミアリーグの試合中 差別的野次で4人が有罪 - ゲイジャパンニュース
- 元プレミアリーガー、自叙伝で反同性愛の選手らを名指し - ゲイジャパンニュース
- 英・元サッカー選手「ゲイの現役選手を12人知っている」 - ゲイジャパンニュース
セルティックFCなどのように、公式サイトではっきりと性的指向による差別を禁じているチームもありますが、世界的に見ればまだまだアンチゲイ色が強いスポーツだと思います。今回のベオグラードの件についてのUK Gay Newsの取材に対し、FIFAのスポークスマンは、FIFAは「サッカーにおける、そして社会全体におけるあらゆる種類の差別と戦うことを積極的に誓」っていると語ったそうです。それが本当であるのなら、ぜひ何らかのアクションを起こしてほしいところです。
単語・語句など
単語・語句 | 意味 |
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distance oneself from | …から遠ざかる |
fall on deaf ears | (頼み・忠告などが)無視される、顧みられない |
editor in chief | 編集長、編集主任、主任記者 |
robust | 確固不動の |
speculate | …について熟考する、思いを凝らす、推測する |
relevant | 適切な、妥当な、実際的な価値(重要性)を持つ、[当面の問題と](密接な)関連がある |