『硝煙の向こう側に彼女』（深見真、エンターブレイン）感想

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「銃と寝る女」と呼ばれる鉄砲好きの女、塚田志士子警部を主人公とする警察小説。サスペンスも活劇も盛り込んだお話ながら意外に静かな印象なのは、塚田のクールで落ち着いた性格によるところが大きいかと。読者を何度もあっと言わせる構成が面白くて、最後まで一気に読んでしまいました。特に面白かったのは、

• プロローグの意味
• 塚田がはめられた罠の銃器トリック
• タイトルの意味（“彼女”を見ているのは誰なのか）

あたりでしょうか。どれも「そうだったのか！」と膝を打つ新鮮な驚きがあり、よかったです。
ひとつだけ「？」と思った点を挙げるとするなら、塚田が学生時代にやってのけたアレでしょうか。アレ、実はそんなに痛くないと思うんですよ。少なくとも、●●がそこまで気に病むほどには。ただ、塚田本人よりそれを見ていた●●がどう思ったかが重要なシークエンスなので、これはこれでありかとも思います。●●、いい奴だなー。
ちなみに塚田本人はヘテロですが、サブキャラとしてゲイやレズビアンも登場します。一応、ご参考まで。全体としては、ガンアクション小説であり、それでいてミステリ要素もあり、なおかつ実はラブストーリーでもある、という多層構造をなす物語だと思います。オチの余韻もよかったです。