『綿本彰プロデュース Watamoto YOGA Studio 骨盤ヨガ・ダイエット』レビュー

「骨盤のバランスを正して、美しくやせる」というコンセプトのヨガDVD。「やせる」の部分はあまりあてにしない方が賢明ですが(骨盤をどうにかするだけでやせるなら、生活習慣病専門医がとっくに患者の指導に組み入れてるはず)、「骨盤周りの筋肉の強さや柔軟性をチェックし、偏りを整える」という点では非常に使い勝手のよい内容です。姿勢が悪いせいであちこち不調に陥っている方にマジでおすすめですよ、これ。

このDVDのキモは、簡単なテストで自分の骨盤の問題点を洗い出す「チェッキング」というプログラム。わずか10分弱で、以下の4つのポイントをチェックすることができます。

  1. 骨盤が正しい位置に起きているか?(腸骨筋が弱いと骨盤が後傾し、猫背になる)
  2. 骨盤が適度に緩んでいるか?(殿筋群がかたいと骨盤が自由に動けない))
  3. 骨盤のしまり具合(骨盤底筋群がゆるむと骨盤が支えられず、身体が不安定になる)
  4. 骨盤の伸び具合(腹横筋が弱いと上半身を支える力が失われ、おなかが出やすい)

実はこのチェッキング目当てで買ったんですよ、このDVD。少し前から『ゆるみ筋&こわばり筋のコンディショニング―ゆがみを正せば痛みは消える』(矢野史也、道和書院)を参考に骨盤の後傾や傾斜(左高位)を改善するためのエクササイズに取り組んでいて、おかげで猫背こそかなりよくなったものの、「本当に自分は骨盤後傾タイプなのだろうか」という疑念がぬぐえなかったもので。今ちょっと腰や膝に不調も出ていることだし、万一「実は骨盤前傾タイプでした」なんてことだったら、シャレにならないじゃないですか。

で、今日さっそくこのチェッキングをやってみてびっくり。総合すると「右の腸骨筋がやや弱く、右の殿筋群がややかたい」という結果で、つまりこれは『ゆるみ筋&こわばり筋のコンディショニング(略)』を読んで自分なりに判断していた、「骨盤後掲&左高位傾斜」という結果とまるきり同じだったんでした。スポーツ医科学とヨガの叡智が、ここにおいて完全に一致。よかった、よかった。鏡の前に立って骨盤の角度をチェックするより、このチェッキングをやった方が明らかに楽なので、今後も定期的にやっていこうと思います。

さて、チェッキングで問題点がわかった後は、いよいよヨガでエクササイズ。このDVDには、20分、40分、60分の3プログラムのほか、弱点をピンポイントで改善する「ワンポイントヨガ」がおさめられています。どのプログラムも、初心者でもやれるやさしいポーズが主体です。同じ綿本彰さんの『ストレッチヨガ』や『パワーヨーガ』より、こちらの方がさらにかんたんなんじゃないかな。

ちなみに60分プログラムの中身は以下の通り。

  • 腹式呼吸
  • 体側を伸ばすポーズ
  • 背骨を前後に伸ばすポーズ
  • 背中を伸ばすポーズ(のばす)
  • 股関節を調整するシークエンス
  • ねじり腹筋のポーズ(おこす)
  • ネコのポーズ(おこす)
  • ネコのポーズ【バリエーション】(のばす)
  • 英雄のポーズ2(骨盤全体の調整)
  • ピラミッドのポーズ(しめる)
  • ワシのポーズ(しめる)
  • 立ち木のポーズ(しめる)
  • 下を向いた犬のポーズ(のばす)
  • 太鼓橋のポーズ(のばす)
  • 仰向け合せきのポーズ(ゆるめる)
  • ボックスストレッチのポーズ(ゆるめる)
  • ワニのポーズ(ゆるめる)
  • 無空(なきがら)のポーズ

上記のうち「おこす」ポーズは腸骨筋、「ゆるめる」は殿筋群、「しめる」は骨盤底筋群、「のばす」は腹横筋のエクササイズです。腸骨筋と殿筋群が弱点なあたしの場合、「おこす」と「ゆるめる」を特に集中してがんばればいいわけ。なお、20分と40分のプログラムおよび「ワンポイントヨガ」は、すべてこの60分プログラムに入っているポーズから構成されています。いわば60分プログラムの簡易バージョンなわけです。

今日はこの60分プログラムをひととおりやってみました。終わった後、「あ、自分の身体の前額面はここだ」と体感できるほど、立位での前後バランスのぶれがなくなってました。これまでいろんなヨガのDVDをやりましたが、こんな感覚は初めて。おもしろすぎ。もっとも、エクササイズ後2〜3時間すると身体がまた元通りの姿勢に戻ろうとしていく感覚があり、さすがに1度だけですべて改善とはいかないようです。「ワンポイントヨガ」はできるだけ毎日、それ以外も時間に合わせてプログラムを選んで、こつこつとバランス改善していこうと思います。