『Spinervals BodyworksMD DVD Vol. 3 - The Shoulder』レビュー

以下、肩のリハビリ用エクササイズのDVD『Spinervals BodyworksMD DVD Vol. 3 - The Shoulder』(オフィシャルサイト)のレビューです。日本のAmazonでは売っていないのが残念(あたしは米Amazonで買いました)なほどよくできた内容で、去年やらかしたインピンジメント障害がまだ治らない自分にはありがたすぎるDVDでした。

概要

これは整形外科医と理学療法士が開発したリハビリDVDシリーズ『Spinervals BodyworksMD DVD』の、肩のリハビリの巻。怪我の程度を客観的に把握できる「Self Accessment」のチャプターが便利。メインプログラムは3つのレベルに分かれており、ストレッチから筋トレまでそれぞれよく考えられています。レベルごとに強度や種目は違えど、プログラムの流れはすべて同じなので、途中できつすぎる/かんたんすぎると感じたらすぐにひとつ下の、または上のプログラムの種目に切り替えられることができます。

収録内容

  • Introduction(DVDの使い方の説明)
  • Self Accessment(自己評価)
  • Exercise Techniques(種目のフォーム説明と簡単な練習)
    • Blue Program(もっとも簡単なプログラム)
    • White Program(中間レベルのプログラム)
    • Red Program(もっとも高レベルのプログラム)
  • Main Rehab Program(メインのプログラム、どのレベルもこのチャプターでやれる)
  • Advanced Strengthening Program(肩の痛みがない人のための上級プログラム)
  • Shoulder Anatomy and Injuries(立体模型を用いた肩の構造の解説と、主にインピンジメント障害の説明)
Self Accessment(自己評価)のチャプターについて

以下の質問に答え、自分に合ったプログラムを判定するチャプターです。

ブループログラム ホワイトプログラム レッドプログラム
肩に痛みがあるか 常に痛む 日常動作で時々痛む 痛くないか、またはスポーツ中だけ時々痛む
夜間痛があったり、痛い側を下にして寝られなかったりするか 毎晩そうである ときどきそうなる まったくそうではない
肩が張ったり、可動域が狭くなったりしているか 明らかにそうなっている。食べ物を口に運んだり、櫛で髪をといたりできない そこそこ動きが悪い。服の袖に腕を通すのに支障がある まったくそうではない、または活発に動くとわずかに固さを感じる
肩が弱くなっているか 腕が挙げられない ジュースや牛乳のカートンが持ち上げられない まったくそうではない、またはやや弱くなっている

プログラムの強度はブルー<ホワイト<レッドの順に上がっていきます。質問への答えがふたつのプログラムにまたがっている場合は、よりレベルが低い方のプログラムをやれとのこと。自分の回答はホワイトとレッドをまたいでいたので、ホワイトプログラムから始めました。去年の受傷直後だったら、間違いなくブループログラムでしたね。

Exercise Techniques(種目のフォーム説明と簡単な練習)のチャプターについて

ここで自分がやりたいプログラムのフォーム練習をします。内容はストレッチと筋トレで、練習なので回数は少なめ。説明はわかりやすいです。

Main Rehab Program(メインのプログラム)について

ナビゲーターであるMark J. Klion医師の指導のもと、3人のインストラクターがお手本となって、ブルー、ホワイト、レッドのすべてのプログラムが同時進行で展開されます。種目と強度が違うだけで全体の構成は同じなので、こんなことが可能なんです。

ホワイトプログラム(中間レベルのプログラム)の内容はこんな。

  • ウォームアップ(各1分)
    • ペンデュラム(横方向)
    • ペンデュラム(回転)
    • ペンデュラム(縦方向)
    • ショルダー・ローテーション
  • ストレッチング・エクササイズ(テーブルを使って)
    • フォワード・フレクション(15秒×3セット)
    • エクスターナル・ローテーション(15秒×3セット)
    • インターナル・ローテーション(15秒×3セット)
    • ショルダー・アブダクション(15秒×3セット)
  • ストレングス・エクササイズ(ダンベルを使って)
    • フォワード・フレクション(5回×6セット)
    • エクスターナル・ローテーション(5回×6セット)
    • エクスターナル・ローテーション(5回×6セット)
    • アブダクション(5回×6セット)
    • エクステンション(5回×6セット)

ウォームアップとストレッチにたっぷり時間がとられており、肩にやさしい感じ。筋トレはどのレベルでもインターバルがとても短く、どうやら「低強度低回数での短インターバル法で、トータルのレップス数で勝負する」というコンセプトで編まれたプログラムのようです。モリモリマッチョになるには向きませんが、怪我をしにくく、リハビリに適したやり方だと思います。

ちなみにもっとも負荷の低いブループログラムはウォームアップでホットパックを、ストレッチで補助用の棒を使い、筋トレはアイソメトリックスのみです。怪我をしたすぐ後、ファーストエイドが終わった段階で取り組めるような内容ですね。もっともハイレベルなレッドプログラムでは、壁やタオルを使ったより強度の高いストレッチをし、筋トレではセラバンドを使ってダイナミックな動きをおこなうようになっています。冒頭で書いたように、自分のやっている種目の強度が合わないと感じたら、即座に別のレベルの種目に切り替えることができます。

なお、どのレベルでも共通して推奨されていることは以下。

  • 痛めていない方の肩も同じプログラムか、より強度の高いプログラムで鍛えること
  • どのエクササイズも、クールダウンとしてストレッチとアイシングをおこなうこと
  • 週に3〜4回エクササイズすること
  • エクササイズの効果はすぐには表れないので、忍耐強く取り組むこと
Advanced Strengthening Program(肩の痛みがない人のための上級プログラム)について

レッドプログラムよりさらに強度の高いプログラムです。バランスボールとダンベルを使い、不安定な状態でのスタビリティを強化します。プッシュアップやリバース・フライ、アップライト・ロウなど、ローテーターカフのみならずアウターマッスルも多用する種目が多いので、総合的に上半身を強化するのによさそう。でも、少しでも痛みがある人はやっちゃ駄目ですね。あくまでも怪我が治ってから、さらなる強化やパフォーマンス向上を目指す人がやるプログラムだと思います。

まとめ

怪我の程度を客観的に把握して自分にあったリハビリをすることができる、合理的なDVDです。エクササイズの内容も「肩に負担をかけず、それでいて効果が上がるように」という視点からじゅうぶんに吟味されていると感じました。整形外科で「湿布貼って様子見てくださいねー」で済まされてしまったすべての肩痛持ちさんにすすめです。