『キャリー』(スティーヴン・キング)読了

CarrieCarrie
Stephen King

Hodder 2007-05-31
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オーディオブックを聞きつつ2日半かけてみっちり再読。おっもしろかった……!! デ・パルマによる1976年の映画版だとどこがどう改変されているかもよくわかり、「2013年のリメイク映画ではどう料理されるんだろう」となおさら期待が高まりました。

デ・パルマの『キャリー』って、キャリーの外見、惨劇の規模と内容、テレパシーの要素、そして結末など、原作とはずいぶん違う部分が多いんですよね。それでも今に至るまで高く評価される作品になったのは、全体を「血」というひとつのモチーフでまとめてあること、特に聖セバスチャンという素材をうまく組み込んだこと、ラストシーンを大胆に変えつつも原作の持つテーマを暗示し得たことにあるんじゃないかなあ。

映画の方のラストシーンについてもう少しつけ加えると、あれって実は小説版第2章の重要シーンの象徴でもあり、『わたしの名前はスーザン・スネル』p. 86でスーが書いていたことの暗示でもあると思うんです。でさ、それはスティーヴン・キングが1999年の序文で書いた"ghosts of my own"の話ともつながってくるわけよ。こうしてみるとあの結末は単純に「最後に観客を驚かして終わり」なんてものではなく、「予算と尺の都合で描ききれなかったことを、変化球でちらっと見せてみました」ってやつなんじゃないでしょうか。そんなことを考えつつ、久しぶりの小説版『キャリー』を心ゆくまで堪能しました。次は『ファイアスターター』を読むぜ。