レズビアン・ママのヒューストン市長がHuffpostに寄稿

米国テキサス州ヒューストンのアニース・パーカー(Annise Parker)市長が、ハフィントンポストで母の日に寄せる文章を書いています。氏は米国の大都市では初のオープンリー・ゲイな市長で、3人の子を持つ母親でもあります。

詳細は以下。

この文章の書き出しはこんなです。


高校時代からカミングアウトしているレズビアンとして、わたしは『典型的な』親子関係の始まりを一度も経験していません。現在、母の日にあたって今でも思うのですが、わたしは自分と生涯の伴侶キャシーがいかにして偶然家族を持つことになるのか、ほとんど想像すらしていませんでした。
An out lesbian since high school, I never expected the "typical" beginnings of parenthood. And today, as we come up on Mother's Day, I still know it would have been hard to imagine just how my life partner, Kathy, and I would stumble into having a family.

そう、偶然なんです。「血のつながった子を残すのがセーブツガクテキに正しいから」とか、「人間は子どもを持つのがアタリマエだから」なんていう理由からではなく、まったくの偶然で彼女は母親になったんです。

彼女が最初の子どものジョヴォン(Jovon)くんと出会ったのは1993年のこと。ジョヴォンくんはティーンエイジャーで、ゲイだからという理由で祖父母から家を追い出された子です。パーカー市長(当時はまだ市長ではありませんでしたが)とキャシーさんはただちに彼を迎え入れ、ジョヴォンくんは家族の一員となりました。

ふたりはのちに児童保護局(CPS)経由でダニエラ(Daniela)さんとマルキータ(Marquitta)さんを養子にむかえ、5人家族となります。こう書くとなんだかとんとん拍子で家族が増えていったみたいですが、実際にはそうでもないんです。とくにダニエラさんとマルキータさんとの養子縁組は大変だったみたい。テキサス州では養子縁組が認められるかどうかは判事の腹ひとつで決まってしまい、最初に担当した判事は、ふたりがレズビアンカップルだというだけで、審問もしないうちから反対したんだそうですよ。そこで、他の郡の判事で、ふたりを両方法的な親として認めてくれる人を見つけて、やっと養子縁組できたのだそうです。ダニエラさんもマルキータさんもそれまで実親が養育することができず、フォスターケアを受けていた子なのに、いざ引き取ろうとするとこの始末。いったい誰得、この制度。

さらに言うと、市長は生まれ故郷のテキサス州ではキャシーさんと結婚することができません。22年も連れ添っていても、です。州都ヒューストンの市長にまで登りつめても、です。仮にテキサス州同性婚を認めたところで、DOMA(結婚防衛法)がある限り、連邦政府からはふたりは「他人」とみなされてしまいます。これはおかしいというのがパーカー市長の主張です。彼女はこう書いています。


イカップルの知人がいる人は、わたしたちが異性愛者のカップルとまったく同じような結びつきを持っているということを知っています。子どもがいる同性愛者を知っている人は、わたしたちが異性愛者の親たち同様、子どもたちを愛情込めて献身的に育て、害から守っていると知っています。わたしたちは政府に、自分たちを平等に扱うように――結婚や養子の迎え入れその他についてです――強く要求していくつもりです。そしてその間、率直に、そして正直に、自分の本当の姿でい続け、真に大切なことに関してはわたしたちが皆いかに似通っているかを示し続けます。
People who know gay couples know that we are just as committed to each other as our straight counterparts. And people who know gay parents know we are just as dedicated to raising our children with love and protecting them from harm. We will keep pushing for the government to treat us equally -- in marriage and adoption and beyond -- and in the meantime, we'll keep being who we are, openly and honestly, and showing just how alike we all are in the ways that really matter.

これを読んでいてちょっと思い出したんだけど、少し前、ゲイカップルに育てられている10歳の女の子が、連邦最高裁に手紙を書いたんですよ。この子は4歳になるまでに、弟と一緒に里親家庭を5つもたらい回しにされてきています。手紙の内容はこんな。


ふたりのパパとくらすようになるまで、わたしの人生はひどいものでした。昔の家族はわたしを一度もよくあつかってくれませんでした。わたしの味方になろうとしてはくれませんでした。里親の家の姉妹とけんかになると、昔のママはただすわってわたしがけがをするのを見ているだけで、だからわたしは自分でやり返さなければなりませんでした。どの里親の家でも、里親たちはわたしと弟を守って平等にあつかうと約束しました。
でも、その約束はいつもやぶられました。わたしはダッドとダディーに見つけてもらうまで、5回ひっこしました。ダッドとダディーも、いつでもわたしのことを愛して、守って、弟と平等にあつかうと約束しました。ふたりに会ったとき、わたしは4才でした。今わたしは10才で、ふたりは約束をずっと守り続けています。

ダッドとダディーはすごくよくしてくれます。ふたりは決してわたしや弟をきずつけたりしません。すごく安全だと感じます。この2人のパパがいれば、何だってできると思います。ふたりの男性やふたりの女性は、子どもを他のカップルと同じか、またはそれ以上に上手にあつかうことができるのに、彼らの結婚を禁止することにいったいどんな目的があるのでしょうか。
Before I lived with my two dads, my life was horrible. My old family never treated me well. They wouldn't stand up for me. If my foster sister fought with me, my old mom would just sit there and watch me get hurt, so I would have to fight back. Each time I was at foster home, the foster parents promised me they would keep me safe and treat my brother and I equally.
But they always broke their promise. I moved five times until my dad and daddy found me. They also promised that they would always love me and keep me safe and they would treat me equal to my brother. I was 4 when I met them. Now I am 10 and they have kept their promises.
They do so much for me. They never hurt me or my brother. I feel so safe. I believe I can do anything with my two dads. Would there be any purpose to ban the marriage of two men or two women when they can treat children the same or even better than other couples.

本当にその通りだわ。
子どもを家から追い出してホームレスにしてしまったり、ネグレクトして怪我させたりするヘテロカップルが結婚できる一方で、そうした子を引き取って大切に育てている同性カップルが結婚できないっていうのはおかしいよね。この子たちから安定した家庭を奪う権利なんて、誰にもないはず。もうゲイカップルやゲイペアレントの知り合いがひとりもいない人たちが妄想だけで語る「同性愛者の子育てとは」論はおしまいにして、現実の話をしようよ、もっとさー。