マルタ共和国のトランス女性、結婚する権利を勝ち取る

マルタ共和国で、トランス女性のジョアン・カサール(Joanne Cassar)さんが、7年間の法廷闘争を経て結婚する権利を獲得しました。

詳細は以下。

カサールさんは出生証明書でも身分証明書でも女性となっているのに、2006年に男性と結婚しようとしたところ、「マルタでは同性婚は認められない」という理由で却下されたんだそうです。そこで訴訟を起こし一審で勝つも、二審では敗訴。政府の主張は、カサールさんの身分証明書に女性と記載されているのは、「彼女に恥ずかしい思いをさせないための気配り」でしかなく、法的に女性として結婚することはできないというものだったとのこと。

おかしいと思いません? そんな主張が通るなら、「年寄りだと思われたら恥ずかしいから、身分証明の出生年月日を変える(法的効力はないけど)」とか、「自分の顔が嫌いだから、IDカードにイケメン/美人の写真を貼る(法的効力はないけど)」とか、何でもできることになっちゃう。それじゃ身分証明の意味がないでしょ。

カサールさんはその後、トランスジェンダーの結婚を禁じてはならないという裁定を出している欧州人権裁判所に提訴。そのときのニュース映像らしきものがYouTubeに上がってます。

政府は結局、欧州人権裁判所が審理をおこなう前に態度を軟化させ、身分証明や運転免許証など公的書類で認められたジェンダーで結婚できるとして、カサールさんと合意に達したのだそうです。

以下、カサールさんがFacebookに投下した喜びの声。


"kemmmmmmmmmmmmmmmmmm jiena ferhanaaaaaaaaaaaaa grazzi il maltin ghax vera malta taghna il koll :) kemm jien ecitataaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa..."

BuzzFeedのコメント欄でこれを英訳してくれてる人がいたので、そこからさらに日本語訳すると、上記は「なんて幸せなんだろう、マルタの人たちありがとう、マルタは本当にわたしたちの国なんだわ、すごくわくわくしています」という意味らしいです。
最初っから同性婚もOKにしとけばカサールさんも問題なく結婚できたし、同性愛者も「わたしたちの国」と言えただろうにと思ってしまうのは、あたしがレズビアンだからでしょうか。でも、それじゃあカサールさんが女性だということは否定されたままだったろうから、解決にはなりませんね、よく考えてみたら。何はともあれ、当たり前のことが当たり前に認められてよかったです。