「17歳でもわかることが、なぜ大人たちにわからないのでしょうか」レズビアン家庭の高校生、Prop 8と婚姻防衛法を語る

2013年3月最終週に米連邦最高裁で審理が始まった提案8号(Prop 8)結婚防衛法について、ふたりのママを持つ17歳の少女が意見を述べてます。

詳細は以下。

この少女アビー・バーグマンさんは、米国カリフォルニア州の高校2年生。アビーさんのお母さんたちはもう30年間連れ添った仲で、なれそめは大学時代のパーティーだったとのこと。ふたりはつき合いだして数年後に結婚式を挙げていますが、この結婚は法的には認められていません。その後お母さんたちは、同性婚が法制化されたカナダのブリティッシュ・コロンビア州でもう1度結婚。さらに後、2008年にカリフォルニア州同性婚が認められたときに改めてカリフォルニアで婚姻届けを出そうとしたところ、郡の登記事務所で「もうカナダでの結婚が有効だから」という理由で受け付けてもらえなかったんだそうです。

で、その後どうなったか。

カリフォルニア州同性婚が有効だったのはわずか5ヶ月だけで、あっという間に提案8号(Prop 8)が、つまり同性婚を禁じた州憲法修正案が可決されてしまいました。皮肉なことに、もしカナダで結婚せずにこの5ヶ月の間にカリフォルニアで結婚していたとしたら、ふたりは今でも州内では既婚者として認められたはずなんです。とは言え、もし仮にそうなっていたとしても、連邦政府には「結婚は男女の間に限るものとする」と規定した結婚防衛法があるため、どのみち連邦レベルでは既婚者とはみなされなかったことになります。

アビーさんは以下のように書いています。


現在のところ、母たちの3回の結婚のうちどれひとつとして、連邦政府から見れば有効ではないのです。連邦最高裁が、偏見を打ち負かして提案8号と結婚防衛法をくつがえすという選択をしない限りは。
At present, none of these marriages are valid in the federal government's eyes -- unless the Supreme Court chooses to overcome prejudice and overturn Proposition 8 and DOMA.

さらに彼女はこう続けます。


提案8号と結婚防衛法を支持する人たちが言う、LGBT家庭は子どもにとって有害だという意見についても述べておきたいと思います。わたしの経験から言って、これはまったくの間違いです。妹とわたしはうちの家族以外を知らずに育ちました。うちの家族では、ふたりの女性が互いに愛し合い、そしてわたしたちを愛しています。いつもずっとそうだったんです。わたしの両親がたまたま女性ふたりだったからと言って、たまたま片方が男性だった場合よりも子どもたちへの愛情が少ないとか、子どもを養う能力が低いとか言おうとするなんて、信じられません。わたしは、自分にはうちの両親が与えることのできない何かが欠けているだなんて、一度たりとも思ったことがありません。
I also want to address the claim made by proponents of Proposition 8 and DOMA that LGBT-headed households are harmful to children. This, in my experience, is completely false. My sister and I grew up knowing no other family than ours; two women who love each other and love us. That is just the way it always was. I can't believe that anyone would try to tell me that just because my parents both happen to be women, they love me and my sister any less or are any less capable of providing for us, than if one of them was a man. In no way did I ever feel that I was missing anything that my moms couldn't provide.

「欠けている」というのは、同性婚反対論者が好んで使う言い回しですよね。でも、レズビアン・ファミリーで育ったアビーさん本人はそんなことはぜんぜん思っていないし、それどころか小さい頃のことをこんな風に回想しています。


2歳のとき、わたしは自分には他の子たちにはひとりしかママがいないのに、わたしにはふたりいることに気づき始めました。「どうしてみんな、そんなにアンラッキーなんだろう」と不思議に思いました。社会からはわたしの方がアンラッキーだと思われるだなんて思いもよりませんでした。わたしは無邪気に、うちみたいな家はラッキーなんだと受け取っていたのです。
As a 2-year-old child, I began to notice that I had two mommies, while other kids had only one. "How did they get to be so unlucky?" I wondered. It never occurred to me that society considered me to be the unfortunate one. In my innocence, I assumed that families like mine were the lucky ones.

これって、別にアビーさん個人がたまたまこうだったという話じゃないと思うんです。レズビアン・マザーは異性愛者の父親よりも体罰を与えたり何か強制したりすることが少ないという研究結果もあれば、レズビアンカップルは異性同士のカップルよりもたくさん子どもと遊び、家事や仕事の分担もより公平だという報告もありますからね。

アビーさんが初めて同性婚の法制化を求める運動に参加したのは7歳のとき。当時はまだ小さすぎて、マイノリティが基本的人権を得ようとするのを妨害したがる人がいることもよくわかっていなかったとのこと。それから10年経った今では、「自分が今あるのは母たちのおかげ」であり、この家庭で育ったおかげで「これ以上はないぐらい幸せで健康になれた」とわかっているそうです。

最後にアビーさんはこう書いています。


提案8号が可決された日の翌朝、どうしてこんなことができるんだろう、なぜみんなこうもわかっていないのだろうと思いながら目を覚ましたことを憶えています。愛が家族をつくるのだという、17歳でもわかることがわからない大人たちがいるというのは、どういうことなのでしょうか。
I remember waking up the morning after Prop 8 passed wondering how this is possible and questioning why people didn't know better. How is it that a 17-year-old can see what some adults cannot seem to? That love makes a family.

本当にその通りだわ。