米国小児科学会、同性婚を支持

米国小児科学会(AAP)が、2013年3月13日、同性同士の民事婚(宗教儀式ではなく公吏によって執り行われる結婚)を支持する方針を発表しました。

詳細は以下。


この声明のタイトルは“Promoting the Well-Being of Children Whose Parents Are Gay or Lesbian”(『両親がゲイまたはレズビアンである子どもたちの福祉促進』)といい、「Pediatrics」誌の2013年4月号に掲載されたとのこと。


「子どもとは、安定した、ずっと安心して暮らせる家庭の中ですくすく育つものです。人はそれを、結婚を通じておこなっています」と、ベンジャミン・シーゲル医学博士は述べた。シーゲル医学博士はAAP特別会員で、またAAP Committee on Psychosocial Aspects of Child and Family Healthの議長でもあり、この声明の共同執筆者でもある。「AAPは、経済的安定を得る機会や、連邦政府が既婚カップルに子どもを育てるために提供するサポートを受ける機会は、あらゆるカップルに対して平等にあたえられるべきであると考えています」
“Children thrive in families that are stable and that provide permanent security, and the way we do that is through marriage,” said Benjamin Siegel, MD, FAAP, chair of the AAP Committee on Psychosocial Aspects of Child and Family Health, and a co-author of the policy statement. “The AAP believes there should be equal opportunity for every couple to access the economic stability and federal supports provided to married couples to raise children.”

AAPはこれまでにも同性カップルの子育てについて意見を述べてきました。2002年には、同性パートナーの両方が子どもと法的な親子関係を結ぶことを支持しています。また2006年には、25年以上の研究をベースに民事婚のもたらす法的、経済的、心理社会的な波及効果について調査し、親の性的指向と子どもの幸福との間に関連はないと結論づけました。しかしながら、同性婚を公式に支持したのは、これが初めてなのだそうです。

今回の声明の裏付けとなる研究をまとめた報告書では、同性カップルが健康保険の恩恵にあずかりにくいことが指摘されており、さらにゲイやレズビアンの子どもは心理的な問題を抱えやすいという説への反論も展開されているんだそうです。それによると、子どもの健康的な発達を阻害する要素というのは貧困や、親のうつ病、親の薬物使用、離婚、DVなどであって、性的指向は関係ないとのこと。


「この方針の裏付けとなる研究はたくさんあります」とエレン・C・ペリン医師は言う。ペリン医師は、ボストンのタフツ医療センターにあるフローティングこども病院の小児科教授で、この方針の筆頭著者だ。「献身的で、ずっと続くしっかりした家庭を子どもに与えてくれるふたりの親がいるのなら、その家庭を支援しない理由はないでしょう。それが子どもの利益にかなうということははっきりしているんですから」
"There is a lot of research to back up this policy," said Dr. Ellen C. Perrin, a professor of pediatrics at the Floating Hospital for Children at Tufts Medical Center in Boston and one of the lead authors. "If a child has two parents that are dedicated and willing to provide a permanent, secure family, why would we not support that family? It's clearly in the best interest of children."

この声明から約2週間後、米連邦最高裁では同性婚についての審理がふたつ予定されています。3月26日には、カリフォルニア州同性婚を禁じる「提案8号(Prop 8)」について、そして3月27日には連邦レベルで同性婚を無効とする「結婚防衛法」についての口頭弁論がおこなわれる予定です。このタイミングで小児科のプロからこうした声明が出てくるってのは心強いですね。「モラルが」とか「人権が」とかいう雲をつかむような話ではなく、徹底して「どうするのが子どもの福利になるか」という視点にもとづいている分、説得力が大きい気がします。

個人的には、別に結婚しなくても子どもが何の問題もなくすくすく育てる社会というのがベストなんじゃないかと思いますが、いきなり現状のシステムを全解体して組み直すわけにはいきませんものね。その意味で、こういうアプローチって大事だと思うんですよ。あと、ハフィントン・ポストのコメント欄にあったこちらの意見に大賛成。


自分は機能不全の、悪意に満ちた、異性愛者の両親に育てられたよ。愛情あるゲイの親がほしいよ、ほんと:)
Was brought up my two dysfunctional hateful, straight parents. Give me a loving, gay couple any day :)