米国の書店、アンチゲイな作者によるスーパーマン漫画をボイコット

ホモフォビックなSF作家オーソン・スコット・カード氏が原作をつとめるスーパーマン漫画が、米国内の複数の書店からボイコットされています。カード氏はモルモン教徒で、同性婚に反対する団体の役員でもあるのですが、同性愛者に対していろいろと失礼な発言をしていることでも知られているようです。
詳細は以下。

この漫画のタイトルは『スーパーマンの冒険』(The Adventures of Superman)といい、2013年5月29日に米国の漫画出版社DCコミックから出版されることになっています。この作品に対して最初にボイコットを表明したのは、テキサス州ダラスのコミック店「ゼウス・コミックス」の店主、リチャード・ニールさん。
Queertyによると、ニールさんはフェイスブックに以下のように書いているのだそうです。


ゼウス・コミックスは作家オーソン・スコット・カードの書いたスーパーマンの印刷版を販売いたしません。カードはNational Organization of Marriage(訳注:正確にはNational Organization for Marriage。同性婚に反対する保守派団体です)の役員をつとめています。彼はエッセイの中で、私と恋人との関係を破壊するとか、私がレイプや虐待のせいで同性愛者になっただとか、同性愛者は小児性愛者と同じだとか主張しています。これらのテーマは、彼の創作物の中にも同じように現れています。
DCコミックが彼を雇ってスーパーマンを書かせるだなんてぞっとします、スーパーマンはみんなの理想を代弁するキャラクターなのですから。
Zeus Comics will not be carrying the print edition of writer Orson Scott Card’s Superman. Card sits on the board of the National Organization of Marriage which fights against marriage equality. His essays advocate the destruction of my relationship, that I am born of rape or abuse and that I am equated with pedophilia. These themes appear in his fiction as well.
It is shocking DC Comics would hire him to write Superman, a character whose ideals represent all of us.

なお、「印刷版を」販売しないとあるのは、この作品にはデジタル版もあるからです。「ゼウス・コミックス」以外では、サンフランシスコの「ホワットエバー・ストア」、カリフォルニア州ベンチュラの「ラルフス・コミック・ストア」、ワシントン州バンクーバーの「アイ・ライク・コミックス」などの店が、この漫画を置かないと表明しています。

Robot 6より、以下、「ホワットエバー・ストア」の意見。


「当店は、お金を受け取ったらくるりと向きを変えてアンチゲイな憎悪を増やす資金に使ってしまう人にお金を払うことを拒否します」
“We refuse to give money to someone who will then turn around and use that money to fund more anti-gay hatred,”

おなじく、「アイ・ライク・コミックス」店主の意見。


「彼(カード)が何を信じていて、その信念を支援するため何をしているかについて読んで、私もこの本を販売しないと決意しました。ワシントンは最近同性婚を法制化したばかりですが、私はこのあきらかに保守寄りの州の一員であり、自分の行動が及ぼす影響を期待しているのです。幼稚だと思われるかもしれませんが、クラーク・ケントなら同じことをしたでしょう。
“After reading about what he [Card] believes and what he does to back up those beliefs I’ve just made the decision not to carry that book either. While Washington just recently legalized gay marriage I’m in a part of the state that definitely leans to the conservative and I expect some fallout from my actions. I know how naive this may sound, but it’s what Clark Kent would do.

National Organization for Marriageの活動家ブライアン・ブラウン氏はこのボイコットを「完全に非アメリカ的」とし、「私たちが伝統的な結婚を守っているからというだけの理由で、私たちを脅迫や処罰の対象にしてもいいと思う人がいるのです」と述べています。いやでも上記のコミック店主の主張のどこにも「脅迫」も「処罰」も見当たらないと思うんですけどねえ。それにだいたい、人にゆえなき侮辱を浴びせて、パートナーとともに暮らす自由を脅かすあなたがたの方が、よっぽど非アメリカ的なんじゃないの?

ちなみに、シカゴの「チャレンジャーズ・コミックス」という店は、また違ったおもしろい決断をしています。『スーパーマンの冒険』は売るけれども、その利益は全部ヒューマン・ライツ・キャンペーン(LGBTの平等な権利を主張する圧力団体)に寄付するんだそうです。なんでも、書店が受け取る1冊あたりの利益の方が、カード氏が受け取る1冊あたりの印税より多いんだそうですよ。スマートな解決策であり、心の底から拍手を贈りたいと思います。