「筋トレは足を太くする」のウソ

上記リンク先なんですけど、


年齢とともに代謝が落ちて太りやすくなると聞き、「いままで通りじゃヤバイ!」と1日30回の腹筋、腕立て伏せ、スクワットをはじめた私。
ストイックに取り組む自分ってカッコイイ〜、と悦に入っていたとき、「筋トレを行うと体が"太く短く"なる」という噂が! ダイエットのつもりだったのに、どうして?

もうね、この部分を読んだだけで大爆笑。自重の腹筋、腕立て、スクワット各30回で体が「太くなる」だなんて、女性よりはるかにテストステロンの分泌量が多くて、かつレセプターもたくさんある男性ですら無理っすよ無理! そんなことができる女がいたら、ドーピングなしでフローレンス・グリフィス・ジョイナーを越えられるよ、ぜひ次期オリンピックを目指すといいよ!!

つーかね。元ボディビルダーで、自重どころかバーベル使ってがしがしスクワットとランジとデッドリフトをやってるあたしの大腿囲でさえ、50cmなのよ? 身長別−男女の太もも(ふともも)の太さの平均によると、あたしの身長(163cm)だと、大腿囲の平均値は54.9cm。50cmなら、ぜんぜん太くなってないじゃん。

さらに言うと、たかが自重腕立てで体が「太くなる」のだとしたら、ベンチプレスだの懸垂だので上半身を鍛えているあたしなんかバストサイズ100cm越えてなきゃウソだよね。でも実際には、87cmしかないぞ。腹筋だって、30回どころか200回ぐらいやってるけど、ウエストは9号か下手すりゃ7号だぞ。別に「太く」なくない、これって?

それから、


「一般的な筋トレは大腿四頭筋(太ももの前面)に筋肉がつき、足を太く、短く見せてしまいます」
(引用者中略)
スリムなのにしなやかで女性らしい"細くて長い"バレリーナ。その秘訣は余計な筋肉はつけずに「バレエ筋」を鍛えているからだそう。
「バレエ筋とは脚の後ろ側や内もも、ヒップ、上半身、背中、お腹、体幹など、鍛えることが難しいパーツ。そこに筋肉をつけるのではなくシェイプするためのアプローチをします。

ってのもむちゃくちゃだと思います。別に筋トレは大腿四頭筋オンリーを鍛えるものではなく、ここで挙げられてる「脚の後ろ側や内もも、ヒップ、上半身、背中、お腹、体幹」だって自由自在に鍛えられますぜ。それにそもそも、「しなやか」な体が欲しかったら筋を鍛えるよりストレッチをするべきだし、「筋肉をつけるのではなく」云々というのなら、筋繊維に負荷がかかる運動など最初からやめておいたほうがいいでしょう。

それにさー、だいたいバレリーナのみなさんが細いのは「バレエ筋」とやらを鍛えているからというより、ストイックな食生活と、練習によるカロリー消費によるところが大きいんじゃないの? 今ざっと調べただけでも、バレエダンサーの摂食障害について調べた研究は山のように見つかりましたよ。そういうシビアさを無視してど素人が家でプリエの真似事だけしたって、バレリーナの細さなんて得られるはずがありません。いくら筋トレフォビアの女性を釣ってDVDを売りつけたいからって、言ってることがあまりにも非科学的すぎやしませんかね。そりゃあリンク元で紹介されてるDVD通りに運動して痩せる人もいるかもしれないけど、でもそれは「バレエ筋」(なんていう語はそもそも解剖学にも運動生理学にもありません)を鍛えたからではなくて、単に「軽い筋トレと有酸素運動をしたから」なんじゃないの。騙されちゃいかんよ、女性たち。